こんにちは。本日は約1年前にこのブログでもご紹介していた、コンクリート材に含まれる微生物がコンクリートのひび割れを自動的に修復してしまうという斬新な技術がありましたが、それがついに日本市場で登場してきたようです。
欧州の方では、既に2014年に開発者が立ち上げたバイオベンチャー企業のバジリスク・コントラクティングBVが販売を開始していますが、日本では北海道のコンクリート専門業者の會澤高圧コンクリートが、バジリスクと提携し独占販売権を持っています。
資料:Basilisk URL:https://www.basiliskconcrete.com/producten/
昨年4月にその発表があってから約1年。いよいよと言うところですね。
どんな技術か?再度ご紹介
コンクリートとひび割れは切っても切れない関係と言えるほどに、どうしようもなく付き纏う問題。しかしそのコンクリート材に微生物を配合することで、ひび割れなどの損傷を自動的に修復してしまう夢のような技術ですが、具体的なメカニズムは以下。
バクテリアの代謝を活用
バクテリア自体をコンクリート材に入れることは入れるのですが、まずはバクテリアを乾燥状態にします。そのバクテリアは乾燥状態に入ると、胞子状の殻をまとって身を守り、200年もの間休眠状態で生き続けることができるそうです。
その状態にした上で、バクテリアのエサとなる乳酸カルシウムという成分で圧縮・固化し、さらにそれを分解性プラスチックの殻で覆い、粒子状のカプセルとして生成。それをコンクリートに配合します。
バクテリアは勝手に目覚めないのか?
コンクリートの練り混ぜをおこなう時とかに、バクテリアが休眠状態から勝手に目覚めたり死んだりしないのか?という部分ですが、練り混ぜる際には生分解性プラスチックの殻でしっかりと摩擦や水分から守られ、目覚めること無くコンクリートの硬化まで進むそうです。
コンクリートが硬化してからは、逆にその殻は脆くなるそうで、そうなってはじめて水分などに反応するようになっているとのこと。当たり前ですが凄くうまく考えられていますね。
上記のことを図解するとこんな感じです
出典:AIZAWA
Youtubeの紹介動画(設定より日本語字幕にできます)
最大1mmのクラックまで修復可能
この自己修復コンクリートでは最大で1mm幅まで対応しているようで、大体2ヶ月で修復が完了したとのこと。ちなみに修復はできてもコンクリート強度が元に戻るものではないようなので、そこは注意が必要です。
まとめ
コンクリートの強度が元に戻らないとは言え、さすがにそこまで完璧を求められませんね。
とは言え、クラックが自動的に修復されて水が進入しなくなるだけでも、メリットは十分あります。特に鉄筋の場合などは水の進入が原因で、内部鉄筋の腐食が起こってしまうので、それが防げるのは大きいです。
現在は、コンクリート表面に塗布するタイプの補修材の販売が始まっているそうで、コンクリートに関しては欧州と日本で配合率が違うため、日本に最適な条件を探っている段階とのこと。
お値段は通常生コンの2倍程になるそうですが、これは輸入商材となるために仕方がない所です。果たして日本でどこまで広まるか。このコンクリートを使った建物で、リジェネレーションビルやリジェネ住宅なんて呼び名で出てくるかも知れませんね。
既存の建物の補修というよりは新たな建物、サスティナブルな建築としての付加価値を与えるには良い商材だと感じます。
参考・関連情報・お問い合わせなど
◆記事参考:AIZAWA
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