こんにちは。先日某不動産会社が無償のインスペクション付きの仲介サービスの利用状況と、サービスを利用した売り主へのアンケート結果を公表したということでニュースになっていました。
インスペクションについては、本年4月より施行された「ホームインスペクション(所謂住宅の診断)の義務化」、これは中古住宅の売買時に不動産業者等が、買主売主に対し状況を説明したり、インスペクション業者を斡旋できることを告知することを義務化するものです。
売り主が回答したアンケート結果
アンケートでは、サービスに申し込んだ約300人近くの売り主に対して行なわれており、以下のような回答状況になったそうです。
Q.ホームインスペクションを知っていたか?
・知らなかった:79.5%
・よく知っていた:4.1%
・知っていた:8.2%
・名前は聞いたことがある:8.2%
Q.ホームインスペクションの有効な点
・不動産の売却に有効:73.5%
Q.インスペクションを実施することで期待できる効果は?
・売却後の不具合に関して買主とのトラブルを避けることが出来る:40.5%
・所有物件の状況把握:25.8%
Q.インスペクションが有償サービスだった場合、実施するか?
・自らは実施しない:73.5%
いかがでしょうか?この結果を見るに建物の売り主さんでこの状況なので、建物診断(インスペクション)に関しての認知はまだまだ低いと言わざる得ません。
利用者の7割以上の方が「売却の際に有効」と回答し、4割の方が「買主とのトラブルを避けられる」となっていますが、売却する際に買主に納得してもらえる材料となるのは確かです。
しかし、売り主側として単純に「売る際の材料になる」「トラブルを回避できる」くらいの気持ちだとすれば、それは余り喜べません。適切な対応をしていないとどの道トラブルになります。
無料診断をやってもらう買主側としては?
買主側は恐らく売主側以上に、建物のインスペクションに関して事前に色々と調べて知っている可能性が高いでしょう。自分の買うことになる住宅ですから。
それを踏まえて、無料で診断してもらえることに対して不安を持つ方が出てくるのは間違いないです。そもそも売主が買ってもらうため、利益をあげるために動いているという先入観もあります。
しかし、例えば建物に大きな問題があっても、それを大した問題でもないように認識させるようなやり方だったり、そういったことをしているんじゃないか?と疑いだせばキリもないですし、専門知識がないとその辺りの良し悪しの判断もできませんので、結局は自分自身が診断結果に対してどこまで納得できるのかが大事になりますね。
個人的に
住宅のインスペクションは無料ではなく、できれば有料で専門の第三者に診断してもらうのがベスト。だと思います。
理由は以下
・売主とインスペクション業者に利害関係がある可能性
このような組み合わせは厄介です。購入してもらうことが目的という時点で、果たしてその結果は信用に足りるものか?という所はまずは考える必要があるでしょう。勿論そんな業者が多いとは言いません…
が、中には大きな問題を小さく解釈し「問題なし」としたり、逆にわざと購入を躊躇させるような大きな問題にして、別の物件に誘導したり不要な改修をするような事もあり得ます。
まとめ
4月から義務化された住宅のインスペクション。通常は購入者にとって良い事であるはずのものが、負の部分があるのもまた事実です。売れたら良しでは確実に買主とのバランスが崩れますし良い広まり方はしません。
ちなみに、弊社でもインスペクションのご依頼をいただければ調査させていただきます。長年調査・改修をしてきた知見があるからこそ適切な調査結果をご提供できます。立場としては全くの第三者ですのでご安心ください。
インスペクションの義務化で海外のようなストック×リノベーションな市場が、日本でももっと活発になっていくためのキッカケになってくれれば良いなと思っているので、透明性に関してもっと業界全体として意識して頂きたいところですね。