こんにちは。建設業界ではBIMデータ、所謂構造物の属性情報までもが入った3次元のモデリングデータの活用がかなり進んできています。しかし海外と比べるとまだまだそこまで普及が進んでいないのは否めません。
BIM先進国でもあるシンガポールでは建築確認申請の際のBIMデータの提出が義務付けられているなど、日本と比べても推進施策が進んでいます。BIMを導入した場合の確認申請では、審査期間が短縮されデータの不整合も減少したことから計画段階の稼働が4割以上削減されたという事例もあるそうです。
BIMのモデリングルールを広めるためにパーツ等を開放
日本ではBIMの活用がそれなりに進んできてはいますが、モデリングのルールが企業間で統一されていないことによって、折角入力された属性情報がうまく有効活用されないまま削除されてしまう、という例は多いのが現状のようです。
出典:日建設計
そんな状況を解決するために、日建設計が今まで自社でRevitで構築してきたパーツやツールなどのデータそのものを無料で公開。誰にでもダウンロードして活用できるように開放されています。
Structural BIM Design Toolというサービス
単純に各種パーツがダウンロードできるというだけでなく、キチンと操作手順などが記載されたマニュアル類も完備されており、初心者でもBIMを理解しつつデータ作成がおこなえるようになっています。
出典:日建設計
他にもARCHI CADのeラーニングができるサイトが無料公開中
日建設計はこのBIMデータのダウンロードサービスの前にも、昨年12月に社内設計者のトレーニングを目的としたeラーニングサイト「ARCHI CAD-Leaning.com」や、3Dのモデリングソフトの「Grasshopper」が学べるサイトなどを無料公開しています。
ソフトの基本操作や設定項目を1時間半ほどで習得し、モデリングや図面、レイアウト等を3.5時間で学べる内容。基本操作から建築モデリングの基礎まで身に付けられます。内容はほぼ短めの動画で項目ごとに解説されており、スマホやタブレットからでも見やすくなっています。
ちなみにこのeトレーニングサイトは元々日建設計の社内用として開発されたようで、初心者でもすぐに練習ができるように配慮されており、管理職者がBIMを理解する上でも役立っているそうです。
まとめ
これは素晴らしい試みだと思います。プログラムのオープンソースなどでもそうですが、基本的に日本では自社で作成したものを共有してより良いものにしていこう、という考えありきで作っている所はまだまだ少ない印象です。そもそもマネタイズが難しいというのもあると思いますが…
今回のようにノウハウを無料公開して広めるというパターンは、日建設計さんとしても使ってもらうと楽になりますし、使う側としてもルールを決めてくれているものは使いやすいですし効率化が図れます。
こういった動きが広まることで最終的に業界全体が効率化され作業が楽になることを願います。