こんにちは。随分と寒さが和らいできていますが、世間では今だインフルエンザが猛威を奮っているようですね。2回でも3回でもかかってしまう場合がありますので、十分に気をつけていきましょう。
本日はドローンを活用した大幅な作業効率化技術のご紹介。大和ハウスグループの株式会社フジタのデイリードローンを活用したものになります。デイリードローンとは、切盛土工事の出来高管理にドローン測量を活用するという、株式会社フジタの商標登録出願中の技術名です。
測量・解析の時間を3分の1まで短縮
今回のプレスリリースでは、同社が施工をおこなう道路工事の盛土作業で実証し、運用が開始されたと発表がありました。基準測量から点群データまでの一連の作業にかかる時間を、従来比の3分の1にまで短縮出来たということです。
出典:フジタ
開発の背景
最近のドローンの高性能・低価格化で、ドローンによる測量は急速に普及をしています。しかし、施工途中の日々の測量で手軽に活用できるまでには至っていません。
その理由としては、従来のドローン測量は事前準備の評定点の設置から、ドローン撮影後の点群データの解析処理まで、膨大な費用と時間がかかります。最初に設置した評定点も、工事の進捗に合わせて撤去、設置を繰り返さなければならないのも非効率です。
最近では、専用のソフトなどを必要としないwebブラウザのみで3Dモデルを作成・解析できるサービスも提供されていますが、解析に半日かかるということや、出来形のデータを外注した際の責任の所在、また山間部などでは作業所の通信環境に影響されるという問題もあります。
エアロセンスの「AEROBOマーカー」を採用。その特長
今回の技術では、基準となる評定点にエアロセンス社のGPS測位機能付きの評定点「AEROBOマーカー」を採用しています。これは評定点の「位置」「測量」「座標データ入力」といった一連の手間を省略することに一役買っており、効率化に繋がっているようです。
さらにドローンの撮影時には、現場の土量管理に必要な精度確保の条件となる、写真枚数・画素数・点群密度などを設定することで、データサイズの抑制ができ、処理時間の大幅な短縮を実現しているとのこと。
このデイリードローンですが、日常の出来高管理において現場で気軽に迅速に利用できることに主眼がおかれており、日々の土工事作業終了後にドローンを飛行させ、撮影データの点群処理から土量の算出までを当日中に完了させる技術として開発されています。
評定点設置作業と点群データの解析作業の効率化のための簡易的な測量でありながら、出来形精度は±50mmという精度を確保し、算出土量の誤差も±5%以内を達成しているそうです。
また、高精度の測量が必要になった際には、撮影時の設定条件を変更することで国交省の「i-Construction」の要求精度を確保することも可能。
導入の効果
・出来高管理の地上測量が不要。現場の測量工数とデータ処理工数を大幅軽減。
・これまで以上に安価、かつ高速に日常的なドローン測量が可能。
・重機稼働中でも実施できるので、測量担当者の負担が軽減。
・従来のドローン測量と比較し、基準測量から点群データ解析までの時間を大幅短縮。
このデイリードローンを活用することで、以下のような効果が出ています。
出典:フジタ
従来の方法で、合計9時間かかっていた測定面積2ヘクタールの解析が、デイリードローンを利用することで従来比の3分の1となる3時間で完了することができるようになったようです。
まとめ
測量とはいえそれに求められる精度も現場により様々。点群データなどは特にデータ容量も多く、算出に時間がかかるのは当然のことです。パソコンで何かをダウンロードする際、容量の大きいものほど時間は掛かりますし軽いものは一瞬で終わるのと同じようなもの。
いくら精度の高いデータが取得できるシステムやドローンでも、それが過剰品質になっては勿体無い話です。取得するデータを細かく設定し、必要以上に大きくなる容量を抑えることで、大幅な時間短縮になるというのはシンプルですね。