こんにちは。建設業界のみならず、あらゆる業界で活用がされ始めているドローン。今やドローンは各社から色々なタイプのドローンが出ており、性能的にもピンからキリまで様々な種類がリリースされています。
色々な点検には活用されてはいるものの、実際にドローンを点検に活用する際にどんな性能が必要になるのか?と言われると明確な答えを出せないのが現状です。基準となるモノサシがありません。
性能評価基準策定の為の飛行試験実施
今後はさらに橋梁などの社会インフラの調査改修需要が加速していきます。そうなると当然それらを維持管理する費用も増加。維持管理をしていくには当然人手がいりますが、業界の人手不足は年々深刻化しています。
その人手不足を解決すべくロボット技術やドローンなどを活用した省力化が実施され始めていますが、先にも書いた通り、維持管理をしていく側としては機械に明確な性能評価基準が存在しないという部分が課題です。
果たして調査に使用しているドローンは、突然の風の外乱でも安定して飛行できる基準をクリアしているのか?そういった基準は今後必要になるのは明らかです。
出典:NEDO
そこで、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)が、富士通・日本電気・イクシスリサーチ・エンルート・プロドローンの5社と共に、千葉県東金市内にて無人航空機の性能評価基準の策定の為に飛行試験を実施しました。
飛行試験内容
1つ目は図のようにドローンを橋梁の点検プロセスに沿って自律飛行させ、各種の近接画像の撮影や、高橋脚の打音検査をおこなったようです。
出典:NEDO
飛行準備から点検作業終了までの所要時間と点検時の環境条件(天気・風向き・風速・照度等)データを取得。その他、打音検査の際の打音機の検出位置・姿勢などのデータなど。
2つ目は橋梁点検などで有り得る、風の外乱。これを特設の送風機にて擬似的に外乱状態をつくり出し、その環境下で飛行させます。それをおこなうことで、ドローンの姿勢制御の性能を数値化することが狙いです。
出典:NEDO
なお今回のこの実施試験で得られた知見データは、福島県へと提供されるようです。なぜ福島県なのか?ですが、福島県では南相馬市の復興工業団地内の約1000m×500mの敷地内に、ドローンや災害対応ロボなどの試験をおこなえるようにする「福島ロボットテストフィールド」を18年度にオープンする予定です。
出典:NEDO
その中には試験用の橋梁も建設されますので、そこで今回のようなドローンの性能評価がおこなえるように、今回得た知見を提供する、ということですね。
まとめ
いくらスペック上で性能の良い機器でも、それを実際に使用した際にどれくらいの環境に対応できるのか、という部分が数値化されていないと不安があるのも事実。
特にドローンなどの場合は外部環境に左右されやすい機材なので、数値化されていたとしても、100%その数値のままで運用できるとは限りませんが、指標があるのとないのとでは全く違ってきます。
現状では、明らかに見た目にハイスペックな物や、小型でも高性能なものなど様々なドローンがありますが、では自社の点検業務に適したドローンはどれが最適なのか?どのレベルがあれば十分なのか?というのはこういった性能評価があることで選択しやすくなると思います。