こんにちは。京都では本日はあいにくの雨ですが、幾分寒さは和らいでいる気がしますね。毎年この時期は風邪はもちろんですがインフルエンザも流行ってきますので、十分に気を付けていきましょう。
本日はICTと画像処理技術を駆使した、主に桟橋などを維持管理する技術のご紹介です。
何と無人。無線LANボート(仮称)で劣化状況を調査
紹介する技術は五洋建設株式会社さんの開発するシステムとなり、桟橋を調査するのが主な目的のシステムなのですが、何と、桟橋に向かう為のボートが無線LANで動きます。ここの所がICTですね。
出典:五洋建設株式会社
従来の桟橋調査と問題点
本来であれば、桟橋の調査には3名程の調査員が小型の船に乗り込んで桟橋下に向かいます。潮位があるのでその影響から調査の時間に制限があるという問題がまずあります。
調査に関しては調査員が船上より目視での確認と、写真撮影やスケッチ図などを作成して劣化状況を把握、という感じで調査員が調査をおこないます。
そして最終の診断に関しては診断の専門技術者が、その持ち帰った写真やスケッチから劣化の判定をおこなう、というのが桟橋調査の一般的な流れになります。
無線LANボートを使った調査で従来の調査がどう変わるか?
この無線LANボートの大きさは全長約2.2mの小型サイズ。撮影用のカメラが搭載されており、そのカメラで桟橋下を撮影していきます。
もちろん、波による揺れなどでの撮影ブレに対応するために、高性能のジンバル(簡単にいうとブレ補正装置)も搭載されていますので、安定感のある画像を取得できます。
桟橋下まで無線LANでの遠隔操作で移動しカメラで撮影。診断は撮影した画像からソフトウェアで自動で完了。撮影作業も簡単で作業員3名で調査に向かうより遥かに省力化できそうですね。
出典:五洋建設株式会社
このシステムの5つの特徴
1.桟橋下面に調査員が立入ることなく、狭隘な場所でも安全に客観的な調査・診断が可能
2.有人での調査に比べ2.5倍の速度で調査可能
3.狭隘な箇所にも進入可能で、潮位の影響を受けにくい
4.画像の3次元モデル化により、劣化位置を適確に特定することができ、定期的な調査により劣化の経時変化を容易に比較可能
5.専用の劣化診断ソフトにより、劣化度を自動で客観的に診断することが可能
この中で特に便利な部分が、撮影した画像から3次元モデルが生成されるという所。さらにそれを専用ソフトを使うことでひび割れの密度や剥離面積の有無、鉄筋の露出面積割合などを判定し、それをもとに劣化度を自動で診断してくれるということです。
まとめ
このシステムで得られた劣化情報は最終的にCIMとなるようです。CIMはBIMと同じように部材や劣化度など詳細な情報を含んでいる3次元データ。このデータがあることで維持管理データとして蓄積しトレーサビリティやエビデンスに使用できそうですね。
しかしボートを無線化して人の代わりに調査に向かわせる、ドローンに高所撮影をさせるような感じで単純ですが、それができるのも昨今の解析ソフトウェアの技術向上の賜物だと言えます。
マンパワー不足の業界では、今後もこういった作業員の代わりをするシステムは増える一方でしょう。