こんにちは。農業の世界でもIotで土の状態を監視するセンサーや、ドローンを使っての農薬散布など、技術活用が広がっているのはこのブログでも色々とご紹介してきましたが、本日も画期的なシステムが実証実験に成功したという話題をご紹介。
ドローンによる農薬散布はよくありますが、農薬散布でもなんと、ただ散布するだけでなく必要な箇所のみピンポイントに散布するという技術です。
ピンポイント農薬散布テクノロジーで大豆栽培に成功
AI・IoT・ロボットなどの最先端の技術を農業へ活用し、作業の負担軽減や作物の品質向上を目指す「スマート農業」に取り組んでいる株式会社オプティムさんが、大豆の育成管理にドローンを活用し、病害虫が検知された箇所のみにドローンを使ったピンポイントの農薬散布を実施したそうです。
その結果ですが、第三者調査機関により栽培された大豆の残留農薬を検査した所、残留農薬は不検出相当であるという結果が得られたとのこと。通常の結果と今回の結果の比較は以下
【検査機関】
・株式会社ブルーム(佐賀県登録 環境計量証明事業者)
【検査方法】
・対象となる各大豆畑(通常栽培、ピンポイント農薬栽培)の5ヵ所から株を採取(合計10株。両大豆畑の境目を避けて採取)
・各圃場の5株を1検体として(合計2検体)5農薬について検査
・ガスクロマトグラフ質量分析にて測定
出典:株式会社オプティム
通常栽培基準値と比べると圧倒的に低いのが分かります。数値として0.01以下なので不検出相当になります。これは大きな違いですね。
ドローンとAIが生み出すメリット
これまでの農薬散布は栽培する園場全てに、満遍なく農薬を散布するのが一般的な手法でしたが、これはドローンとAIを活用することで、病害虫が検出された箇所に対してのみ農薬を散布することができます。
出典:株式会社オプティム
ドローンが自動飛行しながら畑の全体図を撮影し、その画像をAIで解析することにより害虫のいる箇所を特定。そのポイントまで自動飛行で向かい、農薬を散布するという動きになっています。
出典:株式会社オプティム
当然ながら従来の方法と比べても必要な箇所にだけ使う形になりますので、農薬の使用量が圧倒的に少なくなります(通常使用量の1/10まで削減)。今回の実証で農家の方の生産コストを抑えられる栽培方法が成功したといえます。
まとめ
ちなみに今回の実証実験で栽培された大豆は、スマートやさいの「スマートえだまめ」という商品名で、福岡三越で通常のえだまめの約3倍の価格で販売されたそうですが、なんとあっと言う間に完売してしまったそうです。
最新技術を使って良質な野菜を届けるスマートやさい。別会社になりますが、ドローンによって米の育成状況を管理して作った「ドローン米」なるものもあり、農業界ではこれからも新たなブランドがでてきそうですね。
農業はこれまで経営や生産面で定量的な把握が難しかった業界ですが、昨今のテクノロジーで見える化が可能になってきました。建設業と同じく農業も人材不足は深刻と言われていますが、テクノロジーにより働き方も大きく変わってきていますので、逆に今後の伸び代も大きいと言えます。