こんにちは。本日は久しぶりにBIMのモデルデータを活用したシステムの話題が出ていましたのでご紹介。
昨今では建設業界で大分広がりを見せているBIMですが、3DCADとBIMの違いとして、建材のパーツそれぞれに大きさや素材、組み立てる工程、メーカーや品番、価格など「属性情報」として細かく盛り込むことができるのがBIMの特徴です。
つまり、3DCADは立体造形のみのデータから成り立っているものですが、BIMの場合は実際に建物に使われている各建材パーツの詳細データで成り立っています。つまりは画面の中に実際の建物があるようなイメージです。
BIMデータを管理に活用するシステム
3DCGと違ってBIMは細かいオブジェクトの集合体となります。それぞれの建材に属性情報が付与されているので、それを設備維持・管理に活用してしまおうというのが、今回ご紹介する「NaviPortal」というシステムです。
出典:東電設計株式会社
NaviPortalとは?
こちらは、東電設計株式会社さんがプラント設備の管理用に開発した、Autodesk社の「Autodesk Navisworks」と「Autodesk Design Review」をカスタマイズした図面対応の文書管理ソフトで、それを株式会社フジタさんと、フジタビルメンテナンス株式会社さんが共同で建設設備向けに改良を加えたものになります。
出典:フジタ
データベースやBIMモデルを設備などの管理資料と紐付けることで、BIMモデルから関連資料を検索できるようになっています。急に過去の資料を見なければいけなくなった際に、瞬時に見ることが出来ます。
3Dモデルの扱いに慣れていない方でも使いやすいように、シンプルに操作ができるようになっているということです。
システムの6つの特長
1.BIMモデルから関連資料の検索が可能
2.3Dモデルの操作に不慣れな人でも操作が可能なシンプル設計。
3.建物管理業務経験の少ない人でも理解しやすい3D表示。
4.緊急事態発生時でも、迅速・適確な対応が可能。
5.点検記録や修繕履歴のデータは自動的にBIMモデルとリンクしデータベースに蓄積。
6.パソコンとソフトウェアのみで動作できるので、導入が容易。
出典:フジタ
開発の背景
従来の建物管理では、書類による膨大な設備等の管理情報の整理と把握が必要とされていました。その為にトラブルの発生時の対応には、管理者の能力に依存しているのが現状です。
また、点検記録や修繕履歴データは個別で管理されている場合が多く、蓄積されているデータが有効に活用されにくいという課題があったそうです。確かに、せっかくの点検や修繕のデータが蓄積されていても。それを瞬時に取り出せなければ効率的に活用できているとは言えませんね。
まとめ
どんな業界でも、過去にした仕事の記録を再び参照しないといけない事はあると思います。それも大体の場合、突然にそういう状況になることが多いですよね。
普段からキチンとした整理をしておけば問題ない範囲のことも多いですが、データ量が膨大になってくるとさすがにそれなりにシステム化をおこなっていないと対応に時間がかかる場合はあるでしょう。
今回のシステムは現場のBIMデータを見れば、それに対応する資料が全て探すこと無く出てきますので「あの資料はどこだったか?」と探すこともなくなりますね。
ちなみに人が労働時間中に探し物をするのに費やしている時間は、平均で年間約150時間という結果があるそうです。1年間で約1ヶ月弱分くらいの時間を探し物を探すのに費やしているということになります。
今回紹介したものは、探す時間を大幅に効率化するもので大いに便利なものだと思いますが、それ以外でも日常業務でメールを探したりファイルを探したりという経験は誰しもあると思います。
普段から「探している」という行為を意識して、そこにちょっとした工夫をすることで、例え小さくても塵も積もれば…なので、小さな効率化をしていきたいですね。