こんにちは。12月も残り半月を切り、いよいよ今年も残り少なくなってきました。本当に1年は早いものです。最後まで体調に気をつけて怪我などもないよういきましょう。
本日は道路の不具合の調査を効率化する、人工知能を利用したシステムのご紹介。システムの開発はNTTコムウェア株式会社さんによるものです。
AIを利用した画像認識システム「道路不具合検出システム」
道路を自動車で走らせるだけでカメラに映し出されたひび割れなどの不具合を検出できるというシステムで、今年はひび割れに限らず何度か建築・土木業界で開発された同じようなシステムをご紹介したことがあったと思います。
大体の場合は、高額な専用車や専用の機材を必要とする場合が多いものばかりでしたが、今回ご紹介するものは一般車両と市販されている4Kビデオカメラ、という安価な機材構成で、道路不具合検知を実現可能にしたものです。
システムの開発背景
近年では、道路のひび割れやポットホールといった道路の不具合による事故が問題になっています。路面の状況の事前調査・補修効率化、補修の計画に基づいた保全が求められています。
そういった部分に対して、従来では高価な専用車や機材を用いての調査や、道路管理者の目視での巡視点検など、道路管理者には費用面での負担がかかっていました。
システムの3つの特長
出典:NTTコムウェア
1.必要機材が安価で導入しやすい
高速道路、国道で用いられている路面調査システムは、高価な専用車や機材を利用したものになり、費用の面で簡単に導入できるものではありませんでした。しかしこの新システムの場合は、一般車に市販の4Kビデオカメラを取り付け、道路を走行するだけで不具合の検出が可能なので導入ハードルが下がります。
2.ディープラーニングを活用した画像認識技術により、人の視覚に近い道路不具合検出が可能
一般的には道路の不具合は形状が多様なため、従来のルールがベースの画像認識技術では検出が困難でした。ディープラーニング技術を用いることで、人が目視で確認した画像を学習していけるので、道路管理者の目視に近い検出が可能となります。
3.可視化機能により道路状況を俯瞰・把握しやすい
GPS機器を併用することで、道路不具合を位置情報に紐付けて検出し、地図上で道路不具合箇所の静止画や動画を確認することが可能。また、このシステムを自治体の道路台帳システムと連携することで、道路不具合情報と補修履歴などの台帳情報を画面上で合わせて確認でき、補修計画や住民通報対応などの道路維持管理業務の効率化が可能となります。
まとめ
これまでのシステムでは専用車両などを導入したり、それに専用機材を搭載したりと、大掛かりでハードルの高いイメージがありましたが、今回のシステムは車両を問わず搭載が可能な形になっているので、かなり導入しやすい物になっている印象です。
いくら良い技術があっても導入しにくいハードル、特にコスト面でのハードルはどこの企業様でも気になる部分ですが、今回のシステムの場合、車両さえあれば市販の4Kビデオカメラと、これまた市販の一定間隔で現在地を記録するGPSロガーというものだけで、損傷箇所を地図と紐付けることが可能です。
別途解析システムの利用は必要になると思いますが、高額な車両や専用機材を使う必要が無いだけで随分と印象が変わってくるでしょう。このシステムは2017度のサービス開始を目指しているそうです。