こんにちは。以前にこのブログで弊社でも扱っている「X線を使ったレントゲン式の鉄筋探査システム」での非破壊検査の記事を紹介させていただきましたが、本日もX線の話題。
X線をインフラの非破壊検査などに利用しようということで、件名にあるようにロボットに搭載できる形のものが開発されたということです。ちなみにNEDOプロジェクトによるものです。
たまたま本日タイムリーにNEDOさん絡みのニュースがありましたね。喜ばしいニュースではありませんがそれは置いておいて…こちらは産総研さんと静岡大学さんの開発となります。
X線非破壊検査装置の開発背景
昨今では老朽化した建物、インフラ構造物の点検が急務であり、安全性を評価する技術開発が社会的な課題にまでなっています。先日の記事でも、平成28年度時点でのインフラ点検の進捗具合は、全体で見ればまだ平均約20%程度に留まっています。
X線での非破壊検査はインフラ構造物の検査には有効と言われていたようですが、効率的におこなうにはロボットなどを用いて効率化を図ることが必要。そのロボットへ搭載するためには、小型軽量であるのはもちろん、高い透過能力を持つX線検査装置が必要とされていました。
X線非破壊検査装置のポイントと概要
1.カーボンナノ構造体X線源と高エネルギーX線対応検出器により実現
2.1ショット0.1秒のX線照射で鉄5cm厚、複数ショットで鉄7cm厚の透過イメージングが可能に
3.インフラ構造物の効率的な非破壊検査を可能にし、安全安心な社会の実現に貢献
出典:産総研
開発された装置は、カーボンナノ構造体が用いられ管電圧200kV以上の高エネルギーとX線源と高エネルギーX線に対応した検出器からなり、1ショット0.1秒のX線を照射すると5cm厚、複数ショットで7cm以上の厚さの鉄鋼部材の透過イメージングが可能。
出典:産総研
軽量小型で、ポータブルバッテリーで駆動できるため、この装置をインフラ構造物などを検査するロボットに搭載することで、効率的な非破壊検査をおこなえることが可能となります。
高エネルギーのX線を搭載しているにも関わらず、平均消費電力は40ワット以下という低電力なので、ロボット用のバッテリーで駆動が可能なのだそうです。凄いですね。
まとめ・今後の予定
出典:産総研
産総研さんの今後の予定は、この開発したX線非破壊検査装置を化学プラント配管検査用のバッテリー駆動ロボットに搭載して、配管の減肉計測などの自動検査の実証試験をおこなうそうです。その他、他のインフラ構造物の非破壊検査への応用を検討するとのことです。
X線を点検に使用するメリットとしては、コンクリート構造物の場合では「主筋・枝筋の区別がしやすい」「鉄筋と電線管の識別ができる」「客観的な判定方法」「技術レベルが確保されている」など、メリットは色々とあります。
しかし装置がそこそこ大きいことから、スペースの問題で装置のセットが困難な場合も多々あります。それを一気に解決してしまう今回のこの製品は素晴らしいですね。小型化してバッテリー駆動を実現。ロボットは必要となりますが、今後様々なインフラ検査で活躍することになりそうですね。