こんにちは。建設業界をはじめ、様々な業界で開発・利用が進んでいる人工知能AIですが、機械や生産設備などに「後付け」で実装することができるというものは珍しいと思います。そんなことを可能にする製品が出てきました。
新ソリューションが生まれた背景
昨今の生産工場などでは、設備や機械よりデータの収集をおこない、生産効率向上に役立てる動きが高まってきています。ですがその中の多くはセンサで収集したデータを、サーバーやクラウドサーバーへ送信し、設備や機械の状態をモニタリングすることまでに留まっているのが現状。
その収集したデータをAIを使って解析し、その結果を利用し機械を制御して動かす、という段階にまで至っていないようです。
これには、通信の遅延のために判定結果を機械制御にリアルタイムに活かせないという課題と、大量のデータを持つ振動センシングなどのデータを送信する場合に、機械や設備とそれを繋ぐサーバーやクラウドの間に、広帯域のネットワークが必要になるという課題がありました。
課題を解決できる新ソリューション
ルネサスエレクトロニクス株式会社さんの開発したAIソリューションは、工場のエンドポイントに位置する設備・機械に後付けできる、データ収集・加工・分析・評価/判定といった一連のAI処理を機械側で実現が可能です。
しかもサーバーやクラウドと通信をすることなく、リアルタイムにAIでの判定結果をフィードバックすることができるため、異常検知や予知保全の精度が高まり、大幅な生産性の向上に貢献します。そして大量のデータを持つ振動センシングも広帯域のネットワークを必要としなくなりました。
新ソリューションの構成
出典:ルネサス
1.AIユニットを実現するためのリファレンスデザイン
リファレンスデザインを使用することで、産業機器メーカーは容易にAIユニットを開発することができるため、メーカー各社から順次提供される予定。
2.一連のAI処理をプログラミング無しで実現するソフトウェア
本ソフトウェアにより、プログラミングすることなく、学習済みモデルを1日程度の短期でAIユニットに組み込み、すぐに活用できます。
AIユニットとは、ハードウェア開発のためのリファレンスデザインと、AI処理を実現するためのソフトウェアで構成されたユニットです。
このソリューションを使用することで、ユーザーはプログラミングをすることなく、AIユニットに学習済みニュートラルネットワークモデルを、1日程度の短時間で組み込むことが可能になるため、異常検知や予知保全に即時活用できます。
まとめ
リファレンスデザインを用いることで、メーカー側での開発が簡単になるというのは素晴らしいですね。
ちなみにリファレンスデザインというのは、簡単に言うと設計書です。メーカーは提供されたリファレンスをもとに製品を作りますが、独自のノウハウや技術力を持つメーカーなどは、リファレンスをそのまま使うのではなく、より高性能化したり付加価値を付けて独自の製品化をおこないます。パソコンのパーツなどではよくある形ですね。
これからメーカー各社から独自のAIユニットが登場してくると思われます。