こんにちは。今週で11月も終わり、金曜日からいよいよ師走の12月に突入です。今年も僅かなのに実感が湧きませんが、特に過ぎ去るのが早く感じられる12月なので、変にやり残しのないようやっていきたいですね。
建物内で発生する異音位置を可視化できる技術
本日は、建築部材などの干渉から発生する異音の音源がどこからきているのか?を高精度に測定・把握できる「TSounds-Radar」という名の音源探査システムの話題。開発は大成建設株式会社さんです。
設計段階で予測できない異音
竣工の後に起こる可能性のある異音は、様々な要因で発生するために、設計段階ではなかなか予測が難しいという問題がありました。
異音が発生する要因のひとつの例としては、太陽からの熱で建築部材が熱伸び状態になり、接する部材間の伸縮特性の違いで摩擦抵抗が大きくなると発生するというような場合があります。
建物の内部で異音が発生した場合、それらを軽減するために対策をおこなう必要がありますが、どこから異音が出ているのか?という発生箇所の特定を、短時間で特定するのは困難なものだったようです。
そこで開発されたTSounds-Radarとその特長
それを効率的に特定できるよう解決すべく、複数のマイクロホンを用い、建物内で発生する異音を全方位で測定し、画像データと合わせて異音を可視化する音源探査システム「TSounds-Radar」が開発されました。
出典:大成建設
◆TSouds-Radar、3つの特長
1.異音の発生箇所を高精度に測定・可視化できる
音の発生方向を推定する方法の一つ、MUSIC(Multiple Signal Classification)法を用いて、1箇所から全方位の異音の発生箇所を高精度に測定することができ、全天球カメラを用いた撮影画像と測定結果を重ね合わせることで、発生箇所を可視化。発生箇所を視覚的に見ることが可能となります。MUSIC法とは、周波数の推定や波源推定に用いられるアルゴリズムのことです。
出典:大成建設
2.探査範囲に応じてマイクロホンの配置を最適化できる
ある程度の探査範囲が特定できている場合には、方向・範囲に応じ、マイクロホンの配置を柔軟に変更することができ、最適な位置にすることで、より高精度な測定が可能。
3.信頼性の高い計測を実現
発生頻度が低い異音の計測の場合は、長時間に渡る計測が必要になりますが、TSounds-Radarの場合は最長で1週間程度の連続計測が可能。発生音をPCとバックアップ用のレコーダーに同時録音することで、1回の発音のみで発生箇所の測定ができ、迅速に効率的な対策案の提案をすることができます。
大幅な作業効率化に成功
音が聞こえる範囲内であれば、特に場所を選ばずに設置使用できるのもいいですね。システム的にはマイクロホンと全天球カメラの付いた三脚のようなものと、変換器・PC等だけという少ない構成なので、持ち運びも楽そうです。
出典:大成建設
このシステムを使用することで、従来のやり方では解析までに3~5人で実施していた所が、1人で実施可能になり、作業時間としては約50%、作業コストは約30%の削減効果があったということです。
複数人でおこなう作業をいかに少ない人数で効率的にできるようにするか?1人で作業しつつ作業時間が半分になったという効果は素晴らしいですね。