こんにちは。台風も過ぎ去り天気も戻ってきましたね。今のところ向こう一週間は雨は降りそうにないので、ちょくちょく止まっていた現場作業の方も進んでいくことと思われます。
本日は建設業界での3Dプリンター活用事例をご紹介。3Dプリンターと言えばご存知の通り、様々な物体を緻密に造形することができ、色んな業界で注目されているものです。最近では利用シーンも広がってきているのではないでしょうか。
モルタルブロックの作成を自動で
しかし建設業界で言えば、建築物の模型製作に活用されている程度と言ったところで、なかなか3Dプリンターを建築物や、土木構造物を対象にするまでには至っていないのが現状です。
時間と労力をかけていたものを自動に
一般的には建築物、土木構造物にはコンクリート材をはじめとしたセメント系の材料を用いますが、それらは必要強度になるまでに一定時間掛かります。当然ながらその時間内に形を維持したり、寸法も保たなければならないので型枠が必要になりますね。
出典:大林組
今回開発されたという3Dプリンターはロボットアームのような形のもので、アームから特殊なセメント系の材料が吐出るようになっており、その材料を造形しながら積み上げていくことで、建築物・土木構造物の部材を製造します。
ちなみに3Dプリンターの開発は大林組さん。3Dプリンターから出るセメント系材料の開発はデンカ株式会社様です。この材料は建築・土木構造物に必要な強度と耐久性を満たしており、材料の吐出し直後でも形状が崩れることがなく維持する性質を持っているそうです。
出典:大林組 モルタルブロックを製造する様子
形状が維持されるということは型枠がいらないということになりますね。これだけでもかなりの効率化になりそうです。
セメント系材料3Dプリンターの特長
1.型枠を使用せずに様々な形状の部材の製造が可能
型枠を必要とせず、材料の吐出し直後においても、形状が崩れることなく下層と一体化して短時間で固まるため、型枠の組み立て・解体に労力のかかる曲面や中空形状のほか、様々な形状の部材を型枠を製造可能。
2.オフラインティーチングにより自動で正確に材料を積層
開発された3Dのプリンターには、7軸のロボットアームの先端に材料を吐出しするノズルが取り付けられています。ノズルはオフラインティーチングにより一定速度で所定経路を正確に移動するように制御されていることから、自動で正確に材料を積層造形することが可能。
※オフラインティーチングとは、ロボットへの動作の教示(ティーチング)を、実機でおこなわずに作業プログラムを入力したコンピュータなどでおこなう手法。
出典:大林組
大きさとしてはまだまだ小さめのものになりますが、今後の改良・改善でさらに利便性の高い機器となっていくでしょう。大きいものとしては、昨年ドバイで巨大な3Dプリンターを使ってボックスカルバートを複数作成し、それを組み合わせてオフィスが建てられたそうです。広さは250㎡、その際の工期はわずか17日。50~70%の短縮になったそうです。(人件費に至っては50~80%の削減!)
3Dプリンターが建設機械のような形で使われる時代になってきましたね。i-constructionの波はさらに広がりそうです。