こんにちは。いよいよ8月も終盤に入りましたが、相変わらずの残暑厳しい毎日が続いています。昨日の京都の気温はなんと37度!引き続き暑さが続くそうなので熱中症対策は怠らずにいきましょう。
まだまだ黎明期のドローン技術
本日はドローンでの劣化調査の事例と調査点検への活用の課題という話題。
建設現場などでもドローンの技術活用がよく取り上げられていますが、まだまだ黎明期の段階。
実際には法整備などの問題、技術の進歩はまだこれから、という状況でもありまだまだ業界全体への技術浸透度としては決して高いとは言えません。それでも新たな技術として期待のされているドローンを使った調査点検技術。その可能性と調査点検で見えた課題を、旬刊新聞ARSの記事を参考にご紹介します。
今回事例としてドローンの調査をおこなったのは、通称軍艦島の端島。軍艦島の3号棟、16号棟、30号棟、65号棟の調査をおこなったそうです。
出典:旬刊新聞ARS
撮影をおこなった中で屋根に関しては、煙突や滑り台などの遊戯場所、屋根間の仕切り等の形状が複雑なため、屋根全体の部位の構成や劣化分布を把握するのは困難だったようです。
しかしながらドローンでの撮影により、通常では撮影すら困難な場所を撮影・記録できる部分や、それを元にパソコン上で劣化を追跡・確認できることで、どの箇所を補修すれば良いのか全体像を把握できるという、通常では解決の難しい課題を解決することができたという成果がありました。
軍艦島に関しては経年劣化で崩壊している部分も多く、足場を組むことや近づくことすらままならないような環境です。そのような中で、直接的に調査ができ、その劣化情報を図面に履歴として残すことで、改修時の点検調査に活用できるという利点は、やはりドローンならではの物です。
建築物調査点検での活用課題
1.法的な課題:プライバシーの確保
軍艦島のように無人の場合は別ですが、通常は居住者や近隣住民の安全と、プライバシーを考慮したものでなければなりません。そのプライバシーの確保がやはり1番の課題と言えます。
2.技術面での課題:ドローン墜落のリスク
人口が集中する地区においてはドローンをGPSが届かない状況下で、マニュアル操縦しなければならない状況になり、外壁に接近させて詳細を調査することは墜落というリスクを伴います。
法的問題についてはプライバシーに関わる部分になりますので、技術の発展だけではどうにもならない部分です。早急な法の整備が求められます。ドローンの墜落の危険性に関しては、最近では様々な安全対策は施されておりますが、やはり100%のものはありません。
出典:旬刊新聞ARS
これに関しては、極力安全に調査できるように、例えばマニュアル操作で接近して画像を収めるような危険性のある操縦をするのではなく、高解像度のカメラを搭載し、遠方より撮影することで安全に調査ができるように工夫する必要があります。高解像度のカメラで撮影することで、画像のクローズアップから劣化を確認することが可能となります。
まとめ
状況に合わせて上記のような方法や、GPSなど電波の安全に届くことであったり、マニュアルではなく汎用的な自動操縦を活用できること、目視で飛行経路を確認できる位置など、基本的な安全部分が確保できる場面では活用範囲は広いと思われます。
ドローンの技術も日々進歩していますが、現状では法的・技術的課題は常に付きまといます。ドローンの技術的ニュースは多くありますし、画期的で華々しいイメージはありますが、まだまだ、ドローンがあればどんな調査も安価に素早く調査ができます、という単純なものではないのが現実です。
しかし、条件が合えばその威力を発揮できるのも事実。先の活用課題にもあったように、極力危険性を回避できる調査方法を確立し、ドローンにしかできない調査での実証を積み重ねていく必要があります。