こんにちは。最近の建築技術関連ニュースを見ているとドローンの話題が多いですね。先日のドローンの通信規格の話題に続き、本日もドローンの最新技術をご紹介。
ドローンの話題が続きます
こちら日本初となる「ドローンによる老朽下水管きょの点検調査」サービスということで、老朽化した下水管の点検にドローンを使用するというものです。
なんだそんなものかと思うことなかれ、下水管きょの中は暗闇でかつ機械物には大敵の水もあり、GPSの電波すら受信できないような劣悪な環境。そんな場所をドローンが飛行調査できるようになったというのは驚くべきことです。
この開発の背景とねらい
このドローンによる調査を進める背景となったのが、下水管施設の点検義務化とその安全性。日本国内の下水道管路全体の約3%は建設後から50年以上も経過し、その老朽化が原因による道路の陥没事故が多発しているそうです(2014年で年間発生件数は3,300件!)
当然今後もこの件数は増えることが懸念されていた為、平成27年に5年に1回以上の点検が義務付けられました。が、下水道管きょの点検環境がこれまた劣悪。
人体に有害な硫化水素の発生や、ゲリラ豪雨などによる下水道氾濫という危険な環境。実際に死亡事故も発生しているようで、作業員にとって安全面で非常に問題のある調査環境だったようです。
※上の画像は実際の調査環境です。これは見ているだけで危険な香りがします…
そのような問題を解決すべく、ブルーイノベーション株式会社と株式会社日水コン、が共同でドローンによる調査技術に取り組むことになりました。
開発されたドローンでの下水管調査技術
先にも書きましたが、下水管内は暗闇。そしてGPS電波の受信もできません。細かい技術に関する部分の明示はされていませんが、この度それが可能になったということです。
地上のマンホールより球体状のカゴに入ったドローンを入れ、手動操縦で下水管の水面上を飛行しながら点検をおこないます。
※上は実際に下水管の中を飛行しているドローンです。
これにより、作業員が危険な場所に向かうことなく点検調査ができるようになります。人では立ち入りが難しかった場所に関してもドローンならば可能ですね。
そして、驚くべきはその作業効率。
作業員の目視点検にかかる目安として、点検作業を1日中おこなって600m。自走式のロボットでの点検で300mだったところを、このドローンを使用することで5.4km(毎秒1~2m)という驚異の作業効率化が得られるようになります。
暗闇の中を水浸しになりながらライトを付けて目視点検。危険と隣合わせの環境。そんな現場環境から安全な場所でドローンを操縦し点検していく、という全く異なる作業方法が生まれました。
安全に迅速に。まさに下水管きょ点検のイノベーションとも言えますね。