なんと、貼るだけで橋梁の劣化状態を把握できるという画期的なセンサーシートが開発されたというニュースが、国立研究開発法人産業総合研究所(産総研)から発信されているのを見かけましたのでご紹介したいと思います。
ちなみに産総研は日本最大級の公的研究機関で、産業や社会に役立つ技術を創出・実用化し、それを事業に繋げるための橋渡しに注力している機関です。様々な分野でのイノベーション研究をおこなっており、人材や技術、事業関連での連携・サポートも積極的にされています。
このひずみ監視センサーシートですが、従来の構造物のモニタリングで使われている光ファイバー式のものはコストも高く、配線の取り回しが必要になる場合もあるのが問題のようでした。
しかしこの産総研が開発した物はシート型。貼るだけなんです。なので配線に苦労することもありません。しかもその厚みはわずかに0.25mm~0.3mmで丸めることもできます。シートにはセンサーと接着フィルムも一体化しており、コンクリートにも貼ることも可能なようです。なので、ひずみの他にコンクリートのひび割れのモニタリングにも利用できるという優れものです。
これが開発された社会的な背景
橋梁の点検には専門作業員の目視点検が基本で、亀裂などが見つかった場合さらに精密検査をおこない補修をし、経過観察をおこなうのですが、近年は老朽化の橋梁数の増大に伴い専門の作業員が不足しており、十分な点検や経過観測ができないという問題が起こっています。そのような背景からインフラの点検技術のニーズが増加している中で、このシートの開発に至ったようです。
やはり業界ではどこも人材不足が問題のようですね。昔は人手がたくさんあって労働力が多くあったからこそ産業が発達したという背景がありますが、人手が多すぎると技術革新は鈍化する。今は人手不足が深刻になるほど技術革新が生まれるという逆説的状況ですね。
これは普通に考えると当然の流れだと思います。でも単純には技術者がいないという所が一番の問題で、今まで専門技術者しかできなかった物でも、誰でも専門技術者と同じアウトプットができるという技術であれば、新しい雇用を創出することができます。
今回ご紹介した監視センサーシートも、専門作業員が不足している背景があり開発されています。総務省、国交省の推進するICT技術はそのような目論見もあります。
スギテックでもSINQAシステムを開発しましたがこのような技術開発を含め、業界の効率化・先端技術を習得していただけるような人材育成の計画を進行させています。熱い気持ちは大事ですが気持ちだけでは難しい時代です。
幸いにも今の世の中の情報技術等は加速度的に発達していて、この業界でも日々素晴らしい効率化技術が生まれています。業界を変えていくために成長させていくためにできることを、日々スギテックでも考え取り組んでいきたいと思います。