トランプ関税とドローン産業のゆくえ

sugitec

今日は久しぶりの代打Nがおとどけします。
今週はまさに「トランプショック」の一週間でした。
一夜開ければ「朝令暮改」の如しで、市場の乱高下は健康に悪いですね。

さて、建物調査会社の弊社スギテック社としては、調査機材が海外製のものも多く、こうした関税の影響を見過ごす訳にはいきません。
特に「ドローン」は今後の導入費用や備品コストの上昇は避けられないでしょう。
今回の投稿はトランプ関税でドローン産業がどうのように変容するのかを、一部Googleさんの機能を得ましてまとめてみました。

はじめに

今回のトランプ政権下で実施された貿易関税は、国際的な貿易関係に大きな激変をもたらしました。
特に、世界経済において重要な役割を果たす中国との貿易摩擦は、多くの産業に広範な影響を及ぼしてはじめています。

急速な成長を遂げ、軍事、商業、消費者向けといった多様な分野でその重要性を増しているドローン産業に焦点を当て、トランプ政権が実施した関税措置がどのような影響を与えるのかを見ていきます。

トランプ関税下のドローン産業

トランプ政権は、貿易不均衡の是正や国内産業の保護を目的として、中国からの輸入品に対して複数の関税措置を講じました。

ここでドローン産業にとって特に重要なのは、セクション301関税の内容です。
これらの関税は、電子機器、センサー、通信システム、そしてドローン用リチウムイオン電池といった、ドローン製造に不可欠な部品を対象としています。ドローンは高度な技術の結晶であり、その製造にはそれらの多種多様な電子部品が不可欠です。

したがって、これらの部品に課せられた関税は、ドローン産業に直接的な影響を与えることなります。
関税のタイムラインと規模を見ると、米中間の貿易摩擦の激化に伴い、関税率は段階的に引き上げられました。最終的には、中国からの輸入品に対する関税率が125%にまで達しています。これは貿易に壊滅的な影響を与える可能性のある水準です。

このような劇的な関税率の変動は、特に米国と中国の間で既に確立されていた貿易関係を持つドローン産業の企業にとって、事業戦略の即時の見直しを迫るものであり、極度の不確実性を生み出す要因となります。

※セクション301関税
301条関税は、米国が2018年7月以降に、中国原産品に対して段階的に賦課した追加関税。中国の技術移転や知的財産などに関連する行為・政策・慣行が不合理・差別的であり米国の商業に負担や制限を与えているとの理由から、これに対抗するとともに改善を促すことを目的としている。
引用:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/263c42b409855725.html

製造コストとサプライチェーンへの影響

トランプ関税は、米国のドローン製造業者の製造コストを大幅に増加させるでしょう。
中国からの輸入品に対する関税により、米国内のUAV(無人航空機)コンポーネントのコストは10%から20%も上昇。このコスト増加は、特に中小企業のように交渉力が低いドローン製造業者にとって、収益性と市場における競争力を直接的に損なうものです。
なぜなら、部品コストの増加は、製品の最終価格に転嫁されるか、企業の利益を圧迫するかのいずれかにつながるためです。
結果として、米国のドローン製造業者は、関税による負担がない地域で事業を展開する企業との競争において、不利な立場に立たされる可能性があります。このような状況を受けて、サプライチェーン戦略には顕著な変化がおこります。

米国の製造業者は中国のサプライヤーへの依存度を減らし、台湾、韓国、EUといった同盟国や国内のサプライヤーからの調達を増やす動きを加速するでしょう。この背景には、単に関税の影響を軽減するだけでなく、サプライチェーンの安定性と独立性を高めたいという意図がみえます。

特に軍事部門においては、国家安全保障上の観点から、特定の国への依存を避ける傾向が強まっています。さらに、ドローンのサブアセンブリやセンサーの製造拠点を北米やヨーロッパに移転する動きも報告されています。
これは、より自立的で、長期的に見てコスト効率の高い地域ごとのドローンエコシステムを構築しようとする戦略的な動きと言えるでしょう。グローバルなサプライチェーンへの依存を減らすことで、地政学的なリスクや将来的な貿易摩擦の影響を緩和する狙いがあります。

また、リチウムイオン電池とその管理システム(BMS)に対する中国からの関税は、バッテリー駆動のドローンセグメントに特定の影響を与えるでしょう。
ドローン、特に小型で携帯性が求められる機種にとって、バッテリーは不可欠なコンポーネントであり、その技術において中国が大きなシェアを占めています。別な身近なところから聞こえてくるように、iPhoneの上位機が30万以上になる話は真実味を帯びてきます。

このため、関税は非中国製のバッテリーサプライチェーンへの関心を高め、米国、EU、日本などでの全固体電池といった次世代バッテリー技術の開発を促進する要因もあるでしょう。
中国製バッテリーへの依存は、世界のドローンサプライチェーンにおける脆弱性を示しており、この関税はこの状況を改善するためのイノベーションを促す側面もあったと言えます。

市場価格と競争への影響

関税による製造コストの増加は、米国のドローン市場におけるドローン価格に影響を与えてくるでしょう。製造業者が増加したコストをどの程度最終価格に転嫁したかは、市場の状況や競争の激しさによって異なると考えられます。

一般的に、コストが増加した場合、企業は利益率を維持するために価格を上げる傾向がありますが、競争が激しい市場では、価格を上げることが難しく、利益を圧迫する可能性があります。
いずれにせよ、関税は米国のドローン市場におけるドローンの価格上昇につながり、消費者の需要や業界全体の成長に影響を与えた可能性があります。  

それは、米中間のドローン企業間の競争力学にも変化が見られるでしょう。関税が導入される前は、中国の製造業者は低い生産コストを背景に価格競争力を持っていましたが、米国の関税はこの状況を変化させる一手かもしれません。

特に政府関連の契約においては、セキュリティ上の懸念から中国製品を避ける動きが強まり、米国の企業にとって有利な状況が生まれた可能性があります。
DJIのような主要な中国のドローン製造業者が米国の機関によって禁止される可能性は、市場シェアと競争の構図に大きな影響を与えるでしょう。
もし禁止が実現すれば、特に政府や企業といったセキュリティを重視するセクターにおいて、国内の製造業者にとって大きなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。

米中間の貿易摩擦は、他の国のドローン製造業者にも影響を与えるのは確かでしょう。
米国が中国製品に高い関税を課す一方で、他の国(ヨーロッパ、日本、韓国など)の企業は、比較的低い関税率で米国市場に参入できる可能性があります。
また、中国市場においても、米国製品が高関税によって競争力を失う中で、これらの国の企業がシェアを拡大する機会が生まれる可能性があります。したがって、米中貿易摩擦は、グローバルなドローン市場における競争の力学を複雑化させ、新たなプレーヤーの台頭を促す可能性を秘めています。

中国の報復措置と米国ドローン産業への影響

米国による関税措置に対し、中国も報復措置を講じてきました。
中国は米国からの輸入品に対して報復関税を発動し、その税率は最大で84%に達しました。

このような高い関税は、米国のドローン製造業者が中国市場に製品を輸出する際の大きな障壁となり、価格競争力を著しく低下させるでしょう。事実上、中国の広大なドローン市場は米国の製造業者にとって閉鎖されたと言え、彼らのグローバルな成長戦略に大きな制約を与えることになりました。

さらに、中国は米国の特定のドローン企業(SkydioBRINC Drones)を「信頼できないエンティティリスト」に追加しました。
このリストに掲載された企業は、中国との輸出入活動が禁止され、中国国内での新規投資も制限されます。これは、これらの米国企業にとってサプライチェーンの混乱や中国市場へのアクセス喪失を意味し、事業運営に直接的かつ深刻な悪影響を及ぼします。部品の代替調達を余儀なくされたり、重要な市場への参入を阻まれたりする可能性があります。

また、中国はレアアースの輸出制限を実施しました。
レアアースは、ドローンのセンサーや電子機器を含むハイテク製品の製造に不可欠な材料です。
中国がレアアースの主要な供給国であるため、その輸出制限は世界のドローン産業全体に間接的な影響を与える可能性があります。レアアースの供給が滞ることで、特定のドローン部品の生産が遅れたり、コストが増加したりする可能性があり、これは米国の製造業者も例外ではありません。

セグメント別の影響

トランプ関税がドローン産業のさまざまなセグメントに与えた影響は一様ではないでしょう。

軍用ドローン:
小型UAVは、中国製の電子機器やセンサーへの依存度が高かったため、最も大きな影響を受けると予想されます。これに対応するため、米国国防総省(DOD)は、より厳格な原産地とサイバーセキュリティ要件を満たすBlue sUAS準拠のドローンへの移行を推進しました。
戦術UAVは、需要は安定していたものの、関税の影響を避けるために国内製のチップや制御ボードを使用したモジュール式の再設計が行われました。
一方、戦略UAVは、特殊な社内生産体制のため、関税の影響は比較的軽微でしたが、広範な電子機器産業への影響により、研究開発費がわずかに増加しています。

商用ドローン:
このセクターは、センサー、カメラ、フライトコントローラーといった中国製コンポーネントへの依存度が非常に高いため、関税による価格上昇やサプライチェーンの混乱の影響を受けやすい状況です。
特にDJIのような主要な中国メーカーの製品が米国市場から排除されるような事態になれば、商用ドローン市場に大きな影響を与える可能性があります。

消費者向けドローン:
消費者向けドローンは、価格に敏感な市場であり、コンポーネントへの関税は製品価格の上昇につながり、消費者の購買意欲を減退させる可能性があります。また、人気の高い中国製ドローンの入手が困難になる可能性も考えられます。

対ドローン市場:
対ドローンシステムは、半導体、センサー、無線周波数モジュールといった輸入部品に大きく依存しており、これらの多くは中国で製造されています。
トランプ関税はこれらの部品のコストを増加させ、米国を拠点とする対ドローン企業の競争力を損なう可能性があります。

まとめ

トランプ政権による関税措置は、ドローン産業に多岐にわたる影響を与えることになるでしょう。
米国では、製造コストの増加とサプライチェーンの混乱という課題が生じた一方、国内のイノベーションを促進し、政府や防衛といった特定のセクターにおける米国製造業者の成長を促したかに見えます。しかし、中国による報復関税は、米国企業が中国市場へのアクセスを大きく制限し、グローバルな成長戦略に影を落としてきています。

米中間の貿易摩擦は、世界のドローン産業におけるサプライチェーンの脆弱性を露呈させ、より回復力があり多様化されたサプライチェーンの構築の重要性を改めて認識させてくれました。
また、国家安全保障と技術的独立性に関する戦略的な考慮事項も、今後のドローン産業の発展において重要な要素となるでしょう。
今後、各国がどのような貿易政策を展開し、ドローン技術がどのように進化していくのか、注視していく必要があります。


実のところ、現在、弊社スギテックは以下、二機を導入しました。
社長の慧眼は、トランプショックをも見越していたのかと思うばかり…

Skydio 2+

Skydio 2+は、Visual SLAMを搭載した縦横30cm未満の中型ドローンで、狭小空間での飛行に優れています。橋梁点検などの際、入り組んだ鉄骨の中でも全方位で障害物を回避し、安全かつ安定した点検が可能です。また、非GPS環境下でも自律飛行ができ、約2m弱のスペースがあれば屋内巡視も行えます。飛行時間は27分で、十分な飛行時間を誇ります。

※ Visual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術:カメラ映像を用いて自分の位置と周囲の環境地図を同時に作成する技術。
□機能
・ジンバルカメラを垂直上下90度まで回転可能なため、真上から真下までの撮影可能
・機体からの離隔距離45cmまでの狭間での飛行が可能
・ドローンの真上にある画像をキャプチャする垂直ビュー機能搭載
・飛行距離:57km/時(16m/秒)

Skydio X10

Skydio X10は、縦横80cm未満の大型ドローンで、Skydio 2+の優れた機能に加え、高性能な特徴を備えています。可視光および赤外線照明を活用した障害物検知・回避機能により、暗所や夜間でも自律飛行が可能です。また、サーマルカメラとズームカメラを搭載し、精密な点検や監視が可能となります。
保護等級IP55を取得しており、天候に左右されず、警備業界や災害時の緊急対応にも最適です。
飛行時間は40分で、長時間飛行を実現しています。
□機能
・ジンバルカメラを垂直上下90度まで回転可能なため、真上から真下までの撮影可能
・非GPS環境でも飛行可能なAI処理能力を搭載
・LTE接続が可能
・サーマルカメラによる絶対温度計測
・挟角・望遠カメラ(Z)搭載
・挟角・広角カメラ・フラッシュライト(L)搭載
・機体IP55、プロポIP54の高耐久設計
・飛行距離:72km/時(20m/秒)


参考情報
□Skydio

Skydio autonomous drones for DFR, inspection, national security
AI-powered autonomous drones for Drone as First Responder (DFR), critical infrastructure inspection, tactical ISR, site security, surveying and mapping

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