ドローンの水上飛行に求められる安全対策とは?
近年、物流業界におけるドローン活用が進んでおり、特に河川上空の飛行ルートは地上の障害物が少ないため、期待が高まっています。しかし、水上飛行には以下のような課題が存在します。
- 飛行中の機体トラブル時の安全確保
- 落下したドローンの機体や部品の回収困難による水質汚染のリスク
- 機体が回収できない場合、保険金請求が難しくなる可能性
これらの課題を解決するため、日本化薬株式会社(以下、日本化薬)は「フロートパラシュートシステム」を開発。このシステムの実証実験が荒川で行われ、その有効性が確認されました。
フロートパラシュートシステムとは?
このシステムは、ドローンが水上に墜落した際に「パラシュートによる減速」と「フロートによる浮遊」を同時に実現する安全装置です。
主な特徴
✅ パラシュート機能:落下速度を抑え、機体の衝撃を軽減
✅ フロート機能:水面に着水後、機体が沈まずに浮遊を維持
✅ 機体回収の容易化:機体が水面に浮かぶことで、損傷なく回収可能
この装置を搭載すれば、ドローンの安全性が向上し、水上での運用リスクを大幅に低減できます。
実証実験の概要
日本化薬は、国土交通省 荒川下流河川事務所と連携し、以下の手順で実験を実施しました。
1.高度50mから機体モックを投下
2.パラシュートが開傘し、降下速度が適切に低減されるかを確認
3.水面に着水後、フロート機能により機体が浮遊するかを確認
4.機体を回収し、損傷の有無を調査
実証実験の結果:河川での有効性を確認
・パラシュートが正常に展開し、機体の落下速度を適切に制御
・水面着水後もフロート機能が働き、機体が沈まず浮遊を維持
・河川の流れの中でも浮力が保持され、機体回収がスムーズに完了
・機体の損傷なし、水質汚染リスクの低減を確認
また、機体に搭載したデータロガーによる測定では、「安全装置の作動からパラシュートの開傘までの距離は約20m」であることが判明。これにより、高度30m以上を飛行していれば安全に機能する可能性が高いと分析されています。
今後の展望
フロートパラシュートシステムの実証実験成功により、河川上空でのドローン運用の安全性が大幅に向上する可能性が示されました。
今後、さらなる改良や他の環境での検証を進めることで、海洋や湖沼でのドローン活用にも適用範囲が広がることが期待されます。
ドローン物流の発展には、安全対策が欠かせません。こうした技術革新が進むことで、社会におけるドローンの利活用がますます拡大していくでしょう。
参考情報
□日本化薬株式会社「日本化薬が開発するドローン用安全装置フロートパラシュートでの機体回収の有効性を確認」https://parasafe.jp/
※本記事は、日本化薬株式会社の公式リリース情報をもとにしています。