河川監視における新たな試み
近年の異常気象による大雨や台風の増加に伴い、河川の氾濫リスクが高まっています。こうした状況を受け、西松建設株式会社とサクシード株式会社により、宮崎県日南市で、IoT技術を活用した「自立電源OKIPPAカメラ」が河川監視に導入されました。本システムは、河川の水位を常時監視する「OKIPPA水位計」と連動し、水位が一定の閾値を超えると自動的に撮影を行い、関係者に通知する仕組みです。
これにより、遠隔地からでもリアルタイムで河川の状況を確認でき、迅速な災害対応が可能となります。従来の監視カメラとは異なり、OKIPPAカメラは外部電源を必要とせず、太陽光発電とバッテリーで稼働するため、電源確保が困難な場所でも設置できるのが特長です。
OKIPPAカメラの特長—電源不要で柔軟な監視が可能
- 自立電源で稼働可能
OKIPPAカメラは、太陽光発電とバッテリーを搭載しており、外部電源に依存することなく動作します。これにより、電源の確保が困難な山間部や河川沿いでも設置が可能となり、広範囲な監視が実現します。 - 水位変動と連動した自動撮影
OKIPPA水位計と連携することで、水位が閾値を超えた際に自動で撮影し、その画像を関係者に送信する機能を備えています。動画録画ではなく静止画を記録するため、省エネルギーで長期間の運用が可能です。 - クラウド保存でリアルタイム共有
撮影された画像はクラウド上に自動保存されるため、関係者間で状況を即座に共有できます。これにより、河川の水位上昇による道路冠水や氾濫のリスクを迅速に把握し、適切な対応をとることが可能になります。 - 他のIoTセンサーとの連携
OKIPPAシリーズには、水位計のほかに傾斜計・伸縮計・雨量計・WBGT(暑さ指数計)などのセンサーがあり、それらと組み合わせることで、河川だけでなく地滑りやインフラの劣化監視にも活用できます。
OKIPPAについて:https://www.nishimatsu.co.jp/solution/okippa104/
実証実験の成果—遠隔監視の有効性が明らかに
実際の実証実験では、以下のような成果が確認されました。
- 水位が閾値を超えた際に、自動撮影と通知が正常に動作
- リアルタイムでの河川増水や道路冠水の検知が可能
- クラウド上でのデータ共有により、関係者間で迅速な情報伝達が実現
- 遠隔監視により、現地の高齢者や施設の安全確認にも役立つ
このシステムにより、浸水が発生した場合の道路の迂回誘導や早期の資材準備、点検者の安全確保などの防災対応が強化されることが期待されています。
今後の展望—地域防災システムへのさらなる応用
今後、日南市ではこの技術をさらに発展させ、地域防災システムの構築を進めていく方針です。OKIPPAシリーズのセンサーを組み合わせることで、建設現場やインフラ管理、さらには災害時の緊急対応にも応用される可能性があります。
また、自治体や企業との連携を深めることで、災害リスクの高い地域への導入を促進し、より多くの人々の安全を確保することが目指されています。
まとめ—IoT技術がもたらす新たな防災の形
今回のOKIPPAカメラの導入は、IoT技術を活用した河川監視の大きな前進と言えます。従来の監視カメラと異なり、電源不要で設置可能なため、今後より多くの地域での導入が期待されます。
災害が頻発する現代において、こうしたテクノロジーを積極的に活用することが、地域の防災力を高める鍵となるでしょう。OKIPPAカメラのようなシステムが全国的に普及すれば、河川氾濫や道路冠水の被害を未然に防ぐだけでなく、迅速な避難誘導や復旧対応にも大きく貢献するはずです。
参考情報
□西松建設株式会社「河川監視に自立電源OKIPPAカメラを導入」
https://www.nishimatsu.co.jp/news/2025/okippa_1.html
※本記事は、西松建設株式会社の公式リリース情報をもとにしています。
OKIPPAについて
https://www.nishimatsu.co.jp/solution/okippa104/
□サクシード株式会社
https://biz.succ.co.jp/