「T-iDraw Map®」が10tダンプトラックの自動走行を可能に
トンネル坑内での自動運転を実現
GPSが届かないトンネル内での建設作業は、自動運転技術の適用が難しい分野のひとつでした。しかし、大成建設はSLAM技術を活用した「T-iDraw Map®」を導入し、10t積ダンプトラックの自動運転を実現しました。この技術により、トンネル内の周辺環境をリアルタイムで把握しながら、時速20kmの実用速度での自動走行が可能になったのです。
SLAM技術の活用で位置情報をリアルタイム取得
SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術は、自己位置の推定と環境地図の作成を同時に行う技術です。大成建設が開発した「T-iDraw Map®」は、これを活用してトンネル坑内の環境を認識し、GNSSが使えない状況でも車両の位置を正確に把握します。この技術により、移動式鋼製型枠(セントル)などがある狭い通路でも減速し、安全に自動走行ができるようになりました。
実証実験での成果
今回の実証実験では、国土交通省の実大トンネル実験施設や実際のトンネル工事現場で、10tダンプトラックを用いた自動運転が成功しました。以下のような成果が確認されています。
- 時速20kmでの安定した自動運転
- GNSSが届かない坑内でも高精度な位置情報取得
- 狭隘区間での適切な減速・走行
これにより、実際の建設現場でも適用可能な技術であることが証明されました。
今後の展開
大成建設は、「T-iDraw Map®」を活用した建設機械の自動運転を、今後さらに多くのトンネル建設現場へ導入する方針です。また、屋内や地下での自動運転技術の発展に加え、災害時の探査・点検用途への活用も視野に入れています。さらに、「T-iROBO®シリーズ」や「T-iCraft®」との連携を強化し、建設機械の無人化・自動化を推進していく計画とのこと。
まとめ:建設業の未来を切り開く自動運転技術
今回の技術開発は、建設業界にとって大きな一歩です。少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、自動運転技術の導入は生産性向上だけでなく、安全性の向上にも貢献します。特に、GPSが使えない環境での自動化は、今後の建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進において重要な役割を果たすでしょう。
今後、この技術がさらに発展し、さまざまな建設現場で実用化されることが期待されます。自動運転技術の進化が、建設業界の未来を大きく変えていくことは間違いありません。
参考情報
□大成建設株式会社「SLAM技術を活用した位置情報取得技術「T-iDraw Map®」をタイヤ式工事用車両に導入」https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250311_10360.html
※本記事は、大成建設株式会社の公式リリース情報をもとにしています。