支持層確認の新たなアプローチ

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「アースドリル工法」の掘削抵抗測定技術に新評価方法を追加し、建設技術審査証明を更新

株式会社熊谷組と雄正工業株式会社は、2022年に共同開発・技術審査証明を取得した「熊谷式アースドリル工法掘削抵抗測定技術」に、現場でのリアルタイム計測データを活用した新たな評価方法を追加しました。今回の改良により、場所打ちコンクリート杭施工時の支持層確認の信頼性がさらに向上し、建物の安全性確保に寄与することが期待されています。

背景―従来の支持層確認方法の課題

従来のアースドリル工法では、場所打ちコンクリート杭の支持層確認は、施工時に直接採取した土砂を目視で評価し、事前に実施した地盤調査のサンプルと比較する方法で行われていました。

有効な場合と限界:土質変化が大きい(例:粘土と砂礫)場合は容易に確認できるが、土質変化が僅かで類似した地層(例:泥岩塊と地山の泥岩)の場合は、判断が困難になるという課題がありました。

このような背景から、支持層の定量的な評価を行う技術の必要性が高まっていました。

新たな評価方法―リアルタイム計測の活用

今回追加された評価方法は、杭の軸部掘削時における各種掘削データを活用し、支持層を定量的に判断するものです。

計測項目:
・掘削深度
・回転トルク(従来は回転数も計測していたが、今回の新評価では回転トルクと掘削深度から算出される「積算回転トルク」を用いる)

これらのデータから算出される「掘削抵抗値」を、建物計画時に行った標準貫入試験(N値)と比較することで、支持層の状態を定量的に評価することが可能になりました。

適用性の拡大:
回転数の計測装置が搭載されていない重機でも、回転トルクの計測装置があれば本技術を適用できるため、幅広い施工現場での利用が期待されます。

技術の信頼性と審査証明の更新

本技術は、第三者機関である一般財団法人日本建築センターによる建設技術審査証明(建築技術)を更新する形で、その信頼性が担保されました。これにより、従来の目視による評価に加えて、定量的な判断材料が提供されることで、支持層確認の精度と信頼性が大幅に向上します。

今後の展望―リアルタイムシステムとデータ蓄積

現場での実用性をさらに高めるため、施工管理者がパソコンなどを携帯し、リアルタイムで掘削データを確認できるシステムの開発が進められています。

データ蓄積と分析
多数の建設現場からデータを収集することで、支持層の傾斜や不陸が予測される地盤での適用精度をさらに高め、施工品質の向上を図る狙いがあります。

まとめ―安全性向上へ向けた定量的評価の意義

今回の技術改良により、アースドリル工法における支持層確認が従来の目視判断から、定量的な掘削抵抗値とN値の比較による信頼性の高い評価へと進化しています。
私見として、こうした技術革新は、建設現場における品質管理と安全性向上に直結する重要なステップであり、今後のデータ蓄積とリアルタイムモニタリングの導入によって、さらなる施工精度の向上が期待されます。
現代の高度化する建設技術において、定量的評価の導入は、建物の安全性だけでなく、施工プロセス全体の効率化にも大きく貢献するものと確信します。


参考情報
□株式会社熊谷組「アースドリル工法(場所打ちコンクリート杭)における掘削抵抗測定技術」に新たな評価方法を追加 建設技術審査証明を更新 ~現場でのリアルタイム計測による支持層確認技術の品質向上を目指す~
https://www.kumagaigumi.co.jp/news/2025/pr-20250226-003735.html
本記事は、株式会社熊谷組が発表した公式リリース情報をもとにしています。

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