建設現場のDXを加速—超低床型自律走行ロボット「MogLifter」誕生

sugitec

資機材搬送の効率化に挑む—大成建設の新たな一手

建設業界では、生産性向上と省人化が喫緊の課題となっている。その中で、大成建設株式会社は「生産プロセスのDX」の一環として、ラピュタロボティクス株式会社および株式会社匠と共同開発した超低床型自律走行ロボット「MogLifter」を発表した。

本機は、同社が展開する自律走行搬送ロボットシステム「T-DriveX」シリーズに新たに加わり、建設現場における資機材移動のさらなる効率化を実現することが期待されている。

既存技術の課題と「MogLifter」の開発経緯

大成建設はこれまで、パレット型とフォークリフト型の自律走行搬送ロボットを開発・実証運用してきた。しかし、長尺の資機材を運搬する場合、広い経路の確保が必要となり、荷下ろし時に何度も切り返すなど、運用面での課題が残っていた。

これを解決するために開発されたのが、超低床型の「MogLifter」だ。本機は台車の下に潜り込んで資機材を搬送できるため、経路確保の手間を最小限に抑え、狭い現場でもスムーズな搬送が可能となった。

「MogLifter」の技術的特長

  1. 360度全方位移動による柔軟な走行
    本機は球体駆動方式を採用しており、全方位に自由な移動が可能。長尺資機材を短辺方向に移動させることもでき、狭い現場でも最適なルートを選択できる点が大きな強みだ。
  2. 用途に応じたバッテリー調整
    バッテリーの積載量を調整できる機能を備え、荷下ろし時に台車の下をくぐる場合はバッテリーを最小限に、一方で長時間稼働が求められる場合は最大容量にすることが可能。これにより、作業状況に応じた最適な運用が実現される。
  3. 安全性を確保する高度なセンサー技術
    LiDARセンサーによる障害物回避機能や、物理的に接触した際に停止するテープスイッチを搭載。建設現場において、作業員との安全な共存を可能にしている。
  4. 「T-DriveX」シリーズとの連携でさらなる効率化
    「MogLifter」は、フォークリフト型ロボット「Rapyu.」などの既存機種と連携できる。これにより、資機材の受け渡しや台車の移動をシームレスに行うことが可能となり、現場全体の搬送プロセスが最適化される。

建設業の未来を見据えたDXの推進

大成建設は今後、「T-DriveX」シリーズの3機種を連携させた実証運用を継続し、資機材搬送のさらなる効率化を図る方針だ。これにより、建設現場の省力化・省人化を進めるとともに、生産性の向上を目指す。

まとめ—建設現場の課題解決に向けたロボティクスの可能性

「MogLifter」の開発は、建設現場のDXをさらに推進する重要な一歩である。近年、建設業界では労働力不足が深刻化しており、自律走行ロボットの導入は、生産性向上のみならず、作業員の負担軽減や安全性向上にも寄与するだろう。

特に、長尺資機材の搬送における経路制約の克服は、業界全体にとって大きな前進といえる。今後、こうしたロボティクス技術がさらに発展し、さまざまな建設現場で活用されることで、より効率的で安全な現場環境の実現が期待される。


参考情報
□大成建設株式会社「超低床型自律走行搬送ロボット『MogLifter』を開発」
URL: https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250214_10333.html

技術特集
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました