DXで実現するコンクリート工事の生産性と品質向上
東急建設株式会社と株式会社計測リサーチコンサルタントは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波に乗り、コンクリート打設作業の現場に新たな技術革新をもたらしました。
今回共同開発された「バイブトレーサー」は、生コン打設時のバイブレーターの平面位置と深さをリアルタイムで計測する装置として、初めて擁壁コンクリート工事に適用され、従来の作業方法に大きな変革をもたらしています。
「バイブトレーサー」の概要
生コン打設作業においては、バイブレーターが適切な位置と深さで使用されない場合、締固め不足による品質不良が発生する恐れがありました。従来は作業員の感覚に頼っていたため、高所や複雑な状況では正確な位置把握が困難でした。
そこで、東急建設と計測リサーチコンサルタントは、バイブレーターの位置と打設深さをリアルタイムに計測・記録し、タブレット上で3次元的に確認できる装置「バイブトレーサー」を共同開発しました。なお、「バイブトレーサー」は東急建設の登録商標(登録第6893831号)です。
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技術的仕組みと特徴
リアルタイム計測のプロセス
「バイブトレーサー」は、バイブレーターのホース部分に取り付けられ、球形のマーカーを搭載。現場には複数台のモーションキャプチャカメラが設置され、このマーカーの動きを感知してバイブレーターの平面位置を特定します。また、レーザー距離計を用いてコンクリート打設面からの高さを正確に計測し、バイブレーターの締固め位置を割り出します。取得されたデータは計測用PCで三次元座標と打設時刻として記録され、リアルタイムでタブレットに送信されるため、現場の状況を即座に把握可能です。
省人化と品質向上の両立
このシステムの導入により、従来は作業員の感覚に頼って行われていたバイブレーターの位置確認作業が大幅に自動化され、作業ミスの防止と品質不良のリスクを低減します。さらに、作業員が直接位置を把握する必要がなくなることで、現場全体の生産性向上および安全性の確保が実現される点も大きな魅力です。
現場への適用例
この革新的な技術は、千葉県松戸市内の馬橋根木内線(幸谷)道路築造工事の擁壁コンクリート打設現場において初めて適用されました(2024年7月施工、2025年3月完成予定)。今後の他の現場での展開が期待されます。東急建設では、DXを活用した「バイブトレーサー」の適用範囲をさらに拡大し、品質確保と生産性向上の両立を推進していく方針です。
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まとめ:DXが切り拓くコンクリート工事の未来
「バイブトレーサー」技術は、従来の生コン打設作業におけるバイブレーターの位置確認という課題に対して、DXを活用した革新的な解決策を提供しています。リアルタイムでの3次元計測により、品質不良のリスクを低減し、現場作業の省人化と安全性向上を実現するこの技術は、今後のコンクリート工事の生産性向上に大きく貢献すると考えられます。
私見として、このような技術革新は、建設業界全体のデジタル化推進にとって極めて重要であり、さらなる技術の進化と現場への普及が、より効率的で高品質な工事の実現に寄与することを期待しています。
この内容に関するお問い合わせ先
□東急建設株式会社:https://www.tokyu-cnst.co.jp/
経営戦略本部 コーポレート・コミュニケーション部
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