長谷工コーポレーション✕TOPPANエッジ コンクリート強度発現管理をDXする「RFIDセンサーシステム」を開発。

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概要

株式会社長谷工コーポレーション(以下、長谷工コーポレーション)とTOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANエッジ株式会社(以下、TOPPANエッジ)は、建設現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるべく、2020年4月から共同研究を実施してきました。このたび、本共同研究の成果として、RFID※1と温度センシング技術の活用によって、コンクリートの硬化による強度の発現を遠隔で確認可能とする「RFIDセンサーシステム」(特許申請中、以下 本システム)を開発というリリースニュースをお届けします。

※1 RFID(Radio Frequency Identification)は、電磁界や電波などの無線通信を用いて、ICタグなどの情報を非接触で読み書きする自動認識技術。温度センサー付きRFIDタグは、固有IDに加えて温度センサーを内蔵。また、リーダー・ライターから発せられる電波を電源として作動するため、電池交換が不要で、センサーの小型化、薄型化が可能

RFIDセンサーシステム

建設現場で型枠に打ち込まれるコンクリートは、硬化初期のコンクリート強度に応じて型枠を取り外すなどの次工程に移行します。
従来、硬化初期のコンクリート強度は、供試体を用いた外部機関の圧縮強度試験で確認しています。
本システムは、コンクリートを打込む型枠の内側に設置した「RFIDセンサー」が測定したコンクリート温度から、硬化初期のコンクリート強度を推定するもので、リアルタイムに遠隔でコンクリート強度の発現をモニタリングできます。
そのため、外部機関の圧縮強度試験が不要になり、迅速な次の施工工程への移行による作業効率向上や、供試体の削減によるCO2排出量および廃棄物の削減が期待できます。

なお、本システムの検証は、長谷工コーポレーションが進めている建設現場において2024年初頭より実施しており、本システムを用いた施工管理の運用方法の確立や、操作性ならびに作業性の向上を進め、2025年度中の本格導入を目指します。

「RFIDセンサー(シール状)」の概要

本システムの特長

・RFIDを用いた作業性の向上
本システムは、コンクリートを打込む型枠の内側に「RFIDセンサー」を設置し、外側に“読取り機”を取付けることで、打込まれたコンクリートの温度データを測定し記録します。
「RFIDセンサー」はシール状であるため型枠の内側に貼付するだけで取り付けることが可能で、設置に際して配線処理や型枠の加工が不要です。
また、「RFIDセンサー」は非常に薄型で、型枠を取り外した後のコンクリート表面の痕跡がわずかであるため、手直しや仕上げ施工への考慮も不要です。

・無線通信かつ遠隔でコンクリートの強度発現を確認可能
「RFIDセンサー」で測定したデータは型枠の外側に設置する読取り機で無線により記録します。記録された温度データは、クラウドに自動で転送されます。
この温度データを用いて建築基準法の告示に示される推定式からコンクリートの強度を推定することで、遠隔からもリアルタイムで強度発現の確認が可能です。

本システムの構成

型枠取外し後のRFIDセンサー貼付箇所のコンクート表面

今後の展開

長谷工コーポレーションとTOPPANエッジは、今後も、働き方改革やCO2排出量、廃棄物の削減による環境負荷の低減を目指し、建設現場のDXに向けた開発と普及を共同で推進します。

資料引用:TOPPANエッジ ✕ 長谷工コーポレーション

おわりに

コンクリートは、28日後に目標強度が発現するように設計されていますが、28日経つと強度発現が終了するかというとそうではないようです。日本でコンクリート構造物が造られ始めた1900年代、北海道に小樽港北防波堤という構造物が造られましたが、その防波堤のコンクリートは現在でも強度発現を続けているそうです。
コンクリートの配合や環境によって一概には言えないですが、一般的なコンクリートでも10年程度は水和反応は続いていると言われています。

硬化初期のコンクリート強度を測定する「RFIDセンサー」ですが、コンクリートへ完全に埋込して今後のメンテナンスサイクルのデータ集積として利用できるセンサーとして‘突破’してもらいたいものです。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□TOPPANエッジ株式会社
リリースニュース
https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2024/08/newsrelease240829_2.html

□株式会社長谷工コーポレーション
https://www.haseko.co.jp/hc/

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