大成建設✕成和コンサルタント コンクリートひび割れ解析技術「t.WAVE」の一般提供を開始。

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概要

大成建設株式会社(以下、大成建設)は、2008年に開発し、機能拡張してきたコンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE(ティ・ドット・ウェーブ)」を、今般、クラウド上で利用可能となるようにシステム化し、成和コンサルタント株式会社(以下、成和コンサルタント)を窓口に2024年7月より一般利用者への提供を開始というリリースニュースをお届けします。

コンクリートひび割れ解析技術「t.WAVE」

橋梁やトンネルなどの国内のインフラ施設は高度経済成長期に全国で集中的に整備が進んだことから、コンクリート構造物の多くが予定供用期間とされる50年を迎えつつあり、これら構造物の老朽化が大きな社会問題となっています。

構造物の劣化の兆候として最初に認められるのがコンクリート表面のひび割れです。
今後も健全な状態でコンクリート構造物を使い続けるためには、定期的にひび割れの発生状況を点検し、必要に応じて補修するなどの保全対策が重要となります。

しかし、従来の一般的なひび割れ点検は専門点検員による近接目視の方法で行われており、点検結果のバラツキや精度に課題があったほか、高所や狭隘部での点検作業の安全性や点検員への負担などに改善が求められていました。

そこで大成建設は、コンクリートのひび割れを画像解析するシステム「t.WAVE」を開発し、ひび割れ調査・評価の高度化など実用化に向け順次機能拡張を進めてきました。

2020年には、AIを用いてコンクリート構造物のデジタル画像から表面のひび割れを自動的に検出※1する機能を付加し、ウェーブレット変換による画像解析処理※2により、ひび割れの幅や長さなどを自動で定量的に算出できる解析技術を開発しました。
(図1参照)大成建設は、「t.WAVE」を機能拡張しながらコンクリート構造物のひび割れ点検に活用しており、これまでの適用実績として、高架橋を含む橋梁やトンネルなど104箇所のコンクリート構造物に対して合計約19万m2(2023年12月末時点)のひび割れ点検を実施しています。(図2参照)これらの技術開発成果と適用実績により、「t.WAVE」は令和5年度土木学会技術開発賞を受賞しました。

大成建設は、これらの成果と実績を受けて、この度、コンクリート構造物の健全性を確保し、さらなる安全・安心を実現するために、「t.WAVE」をクラウド上で運用できるように機能拡張し、インターネットを介して誰でも有償で利用できるサービスを開始しました。

今回一般提供を開始する「t.WAVE」の主な特長は以下の通りです。

  • クラウド上で動作するため、インターネットに接続できる環境であれば、いつ、どこからでも簡易な操作で高度な点検結果を確認することができます。
  • ドローンカメラや小型アクションカメラ※3など、様々な撮影方法や撮影機材でのデジタル画像に対応しています。
  • 従来の近接目視によるコンクリート構造物のひび割れ点検に比べ、デジタル画像からAIを用いてひび割れを自動検出し、発生状況を定量的に記録可能なため、ひび割れ点検の精度および作業効率が向上することにより、点検時の人員や費用を削減できます。
  • 詳細なひび割れ幅の情報提供により経年劣化状況の把握や補修数量の算定も可能で、コンリート構造物の安全性向上を図ることができます。

今後、大成建設と成和コンサルタントは、コンクリート構造物の点検作業の精度向上と効率化に関する更なる技術開発を進め、多くの利用者への提供を通じて開発技術の普及展開を図り、インフラ施設の健全性確保を支援することで、安全・安心な社会の実現に貢献してまいります。

t.WAVEの利用手順

図1 t.WAVEを活用して得られるひび割れ画像とひび割れ分布図(赤字:処理手順、青字:出力結果)

図2 t.WAVEによる橋梁床版のひび割れ点検結果の一例(右図色表示部分がひび割れ)※4

  • ※1
    AIで自動的に抽出:
    多くのひび割れ画像を学習させたAIにより、コンクリート表面に発生しているひび割れを自動的に高精度で抽出することが可能
  • ※2
    ウェーブレット変換による画像解析処理:
    ひび割れの幅や長さを自動的に高精度で算定することができる画像解析処理技術.日本初の技術で当社が特許を保有
  • ※3
    小型アクションカメラ:
    GoProなどの小型で可搬性に優れるデジタルカメラ
  • ※4
    秋田県山本地域振興局 “不動沢橋 橋梁補修詳細設計業務委託”(受注者:株式会社フルテック)における実施例

資料引用:大成建設

おわりに

この「t.WAVE」は3次元計測結果との連携により、ひび割れの発生状況を3次元で俯瞰できるということは、3Dメッシュにクラック分析をしたテクスチャを貼り込んでグリグリと3D空間で視認できるということでしょうか。一般利用者への提供を開始とともに施工デジタルツインが進み始めています。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□大成建設株式会社
リリースニュース
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240821_10068.html

□成和コンサルタント株式会社 土木設計部
メールアドレス:t.wave@seiwac.jp
https://www.seiwac.co.jp/twave.html

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