大成建設 風騒音リスクの可視化技術「TSounds®-Wind」を開発

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概要

大成建設株式会社(以下、大成建設)は、建物の外壁面における強風時の風騒音発生リスクを可視化する技術「TSounds-Wind」を開発というリリースニュースをお届けします。

T Sounds®-Wind とは

建物の風騒音発生部位を特定し、外装計画の最適化を実現

本技術は、外装付属部材(以下、部材)について風洞実験で計測された騒音データと建物周辺の風速・風向などの風シミュレーションデータを連携させることで、風の流れにより、外壁面のどの部位でどの程度の騒音が発生するリスクがあるかを3Dモデル上に色分けして表示することが可能です。
これにより騒音対策が必要な領域を特定できるため、建物外装計画の最適化が実現できます。

建物に特定の風速や風向きから強風があたると、建物外壁面に設置されたベランダ手摺、各種ルーバーなどの部材から風騒音が発生することがあり、その騒音レベルによっては住環境障害につながる恐れがあります。
このような風騒音の発生リスクがある場合、従来技術では風洞実験により実際の部材に様々な風速・風向で風を当て、その測定結果を基に風騒音の予測・評価を行ってきました。しかし、各部材について風騒音が発生する時の風速・風向を把握することができても、建物周辺の風の流れは複雑であることから、実際に外壁面に設置された部材に作用する風速・風向が実験結果と合致するか否かの判断は容易ではなく、建物全体としての風騒音発生リスクを推定することは困難でした。

そこで大成建設は、これらの部材から生じる風騒音の風洞実験データと建物周辺の風シミュレーションデータを連携させることで、建物外壁面のどの部位にどの程度の風騒音が発生するかを高精度に予測し、その風騒音の大小を色分けして3Dモデル上に分かりやすく表示することができるシステム「TSounds-Wind」を開発しました。

 本システムの特徴は以下のとおりです。(図1参照)

1 風騒音の発生リスクを可視化

大成建設独自の風騒音評価尺度に基づき、風洞実験による風騒音ランク※1(5段階評価)が建物の3Dモデル上にカラーコンターとしてマッピングされるため、結果を見てすぐに騒音発生リスクが把握でき、関係者間の合意形成に活用できます。

※1 風騒音ランク:
計測された風騒音データに含まれる物理量(音の大きさや周波数特性)を用いて、風騒音の「聴こえ方の程度」を5段階に分類する評価尺度。

2 騒音対策のコストダウンに有効

風洞実験によって風騒音の発生が確認された部材であっても、その発音条件に合致する建物外壁面の領域は限定されたものとなります。
本システムでは、風騒音が問題となる領域を迅速に特定し可視化できるため、部材仕様の変更や対象範囲の絞り込みなどからより効果的な騒音対策の検討が可能で、騒音低減のための技術コストを抑制することができます。

3 要求精度など設定条件に応じたリスク評価を選択可能

本システムでは、予測のためのコストや要求精度など設定条件に応じて、風騒音発生リスクの予測結果を数日程度で迅速に出力する「簡易予測」と、1カ月程度で精緻な評価を行う「高精度予測」の選択が可能です。

特に簡易予測メニューでは、大成建設のこれまでの研究開発成果により蓄積された200種2万データを超える部材の風騒音データベースや延べ80km2相当の市街地に対する風シミュレーション画像を学習データとして構築された風況AI技術が採用されており、計画初期段階での検討などに有効です。

今後、大成建設は、風騒音評価を要するすべての建物に対して本システムを積極的に適用し、風騒音に配慮した部材の選定など外装計画の最適化を図ることで、建築計画にまつわるリスク低減に取り組んでまいります。

資料引用:大成建設

おわりに

こうした風騒音評価をもとに転用も可能でしょう。この風シミュレーションデータをもとに、外壁劣化や建造物の飛散の危機を察知することも不可能ではないだろうと思います。
近年の超高温気候で線状降水帯の突如発生や海面温度の長期間の高温化で台風の超巨大化で、風力と降雨量のシミュレーションシステムは、単独のゼネコンだけで開発に踏み出すより、国家機関とも連携した開発が重要性を増すことでしょう。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□大成建設株式会社
リリースニュース:https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/240731_9821.html

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