クラボウ 現場発泡ウレタンフォーム用厚さ計測システム 「アツミエル」を開発。

sugitec

概要

倉敷紡績株式会社(以下、クラボウ)化成品事業部は、ウレタン吹付工事における検査品質の向上と作業の効率化を目的とした、現場発泡ウレタンフォーム用厚さ計測システム『アツミエル』を開発しました。本年7月1日から予約受付を開始し、10月1日よりサブスクリプション方式でシステムを提供というリリースニュースをお届けします。

発泡ウレタンフォーム用厚さ計測システム 「アツミエル」

開発の背景

高気密・高断熱性能が求められるマンションやビルの断熱工事には、ウレタン材料を直接吹き付けその場で発泡させることで、気密性が高く施工性もよいウレタン吹付断熱工法が長年にわたり幅広く使用されています。しかしながら、必要な断熱性能を発揮するには、発泡後のウレタンフォームの厚さを指定の厚さに施工する必要性があります。

現行の施工後の厚さ検査は、検査員が手作業で「厚さゲージ」や「測定ピン」を吹付面の任意の数か所に挿し込み、計測値を目視で確認し、必要に応じてウレタンの再吹付を行うことが一般的です。この方法では、吹付面全体の厚さの状況が分かりづらく、また、作業者によるバラつきもあるという課題がありました。また、この作業には大変な手間と時間・労力がかかっており、人手不足による作業の効率化、DX化の推進などが求められる中、検査方法の改善およびウレタン吹付業者が行う自主検査から最終の施主検査まで重複する検査の省力化が求められています。(下図参照)

これらのニーズに対応するため、クラボウは施工面全体の厚さを簡単に可視化できるウレタン厚さ計測システム「アツミエル」を開発し、実用化に向けては株式会社竹中工務店にご協力いただき、実際の施工現場において計測精度や操作性の検証を行い、システムの有効性を確認いたしました。なお、「アツミエル」ついては、特許出願中です。

ウレタン厚さ計測システム「アツミエル」の概要

「アツミエル」は、3Dスキャナ、計測治具「アツミピン」を使用し、独自開発の解析専用アプリ「アツミエル」により、ウレタン吹付工事を行った箇所の厚さ計測とその結果を簡単にレポート作成できるシステムです。本システムは、一定の月額利用料でご使用いただけるサブスクリプション方式での提供を行います。

(1)特長
■検査対象箇所の全面計測が可能
施工箇所全体を面で計測することが可能となるため、任意の場所を抽出し点で計測する従来の方法に比べ、厚さ計測の検査品質の向上が図れます。

■スピーディな計測と色でウレタンの厚さを可視化
1部屋約15分で計測からレポート作成までをスピーディに行うことができます。厚さの計測結果は、その場でタブレット上に色別で表示されすぐに確認ができるため、タイムリーな補修が可能となり、次工程への影響を最小限にとどめることが出来ます。

■レポート作成の作業軽減
厚さ計測データを用いて検査記録表を簡単に自動作成されるため、記録作成に関する作業時間が短縮されます。

■誰でも使える簡単操作
ウレタン吹付工事に関する専門的な知識がなくても、3Dスキャナで施工面を計測し簡単なパソコン操作を行うだけで、誰でも簡単に厚さ計測が出来ます。

(2)販売内容
■スターターセット
厚さ計測に必要な機器がセットになっています。
・3Dスキャナ
・計測治具「アツミピン」
・アツミピン高所設置用治具「アツミバー」
・タブレットPC
■システム利用料
・解析専用アプリ「アツミエル」
   *サブスクリプション形式(年額)でのシステム提供となります

今後の展開

「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」、「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」など、ビルやマンションにおいては、今後さらなる高断熱化が求められるとともに高い品質基準も求められます。

クラボウは、「アツミエル」を通じて、ウレタン吹付施工、厚さ検査の品質向上を図り、重複している検査工程の簡略化で省力化につなげるなど建設業界でのDX推進・人手不足問題の解決に貢献してまいります。さらに、今後この取り組みに賛同いただけるパートナー企業を募ることで、業界全体での利用促進を図り、検査工程の省力化にもつなげるとともに、ウレタン吹付作業時の厚さ計測作業に本システムの活用が標準化されることを目指してまいります。

資料引用:クラボウ

おわりに

日経電子版6月28日の記事を引用します。

リクルートの住宅調査研究機関であるSUUMO(スーモ)リサーチセンターは、2024年の住宅トレンドのキーワードに「断熱新時代」を選んだと発表した。住宅の性能が向上するなか、断熱性能は消費者からの関心が特に高い。住宅の断熱性能が健康に影響するという研究結果もあり、さらに注目が集まりそうだ。

リクルートの住宅トレンド調査によると、注文住宅を建築する際に重視した条件(複数回答)で「断熱性・気密性に優れていること」(47.1%)は「耐震性に優れていること」(54.5%)に次ぎ、2位となった。「断熱性・気密性」の数値は2年連続で伸びた。

日本では古くから高温多湿を避けるため、風通しを重視する住宅が多かったが、今は35度を超える猛暑日が急増している。冷暖房効率をよくしようと、断熱性や気密性の高い新築住宅が増えている一方、国土交通省の推計では9割の既存住宅は断熱性能が低いという。

世界保健機関(WHO)は18年、「住宅と健康に関するガイドライン」を公表した。健康被害から居住者を守るため、冬は室温を18度以上にすることなどを勧告した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC274IB0X20C24A6000000/

現在では断熱性能は省エネ側面から、住居者の健康に寄与する側面へ機能拡張しつつある。
断熱性能を十分に発揮するためにも、これまでの感覚に左右される施工から、可視化できる正確な施工管理が望まれます。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□倉敷紡績株式会社 
リリースニュース: https://www.kurabo.co.jp/news/newsrelease/20240627_1229.html
■サービスに関するお問い合わせ
 化成品事業部 環境マテリアル部 断熱商品課 担当:加藤 TEL:06-6266-5488
 
 クラボウコーポレートサイト:https://www.kurabo.co.jp/

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