生成AIで専門技術を検索、大成建設が開発

概要

大成建設株式会社（以下、大成建設）は、専門知識の必要な技術に関しての質問に対し、信頼性の高い情報を迅速に提供できる「専門技術検索システム」を開発した。システムはセキュリティ対策の施された安全な環境下で、生成AIのうち大規模言語モデルを利用している。

膨大な技術データや資料の有効活用が実現

土木・建築業界において、ものづくりの根幹である建設技術は、多岐にわたる専門技術の集合体で成り立っている。これまでに大成建設では、技術的知識や知見を膨大な社内書類として蓄積しており、それら技術データや資料を有効活用してきている。

しかし、その膨大なデータ・資料の中から必要な情報を的確に検索し、信頼性の高い情報を抽出するのに多大な時間と労力を要していたという。

一方で、即座に回答を得られるツールとして、急速に進んでいる生成AIがあるが、一般公開されているものの、質問や回答に関する情報が学習データに取り込まれることによる情報漏洩のリスクや、誤情報による不正確な回答が提供される懸念があるため、活用にあたっての課題となっていた。

そこで大成建設ではセキュリティ対策の施された情報基盤を用い、社内資料の信頼性の高いデータ・資料の中から専門性の高い質問に関連する情報を選別・抽出。それら情報を基にした生成AIによる専門技術検索システムを内製化した。

１．情報漏洩のリスクがない安全なシステム
システムはクラウドを活用した情報基盤として高いセキュリティ要件を満たすMicrosoft AzureのAzure OpenAI Serviceを活用し構築されているため、質問や回答などの情報が外部漏洩するリスクを回避。

２．専門的な質問に対して信頼性の高い回答を短時間で提供可能
システムは専門分野に特化した専門性の高い質問に対しても、社内書類の技術データ・資料から必要な情報だけを選別・抽出し、正確な回答を瞬時に提供できる。また、データソースを変更することで様々な専門分野に対応可能。

３．属人化の懸念される専門技術の共通や次世代への継承を可能に
専門分野に特化した技術の中には属人化が懸念される専門技術も少なくないが、このシステムを活用することで、専門技術に関する知識やノウハウが共有でき、担当者不在時の円滑な対応や次世代への専門技術の継承が可能となる。

同社では、今後も様々な専門分野において、社内書類の技術データ・資料を有効活用し、このシステムの適用領域を拡げ、さらなる業務効率化と生産性の向上に取り組んでいくとのことだ。