概要
戸田建設株式会社(以下「戸田建設」)と株式会社村田製作所(以下「村田製作所」)は、2019年5月より販売を開始したヘルメット取り付け型センサデバイスにより建設作業者の健康と安全をリアルタイムで確認できる「作業者安全モニタリングシステム」※1(以下、「本システム」)に現場の安全管理に役立つ新機能を追加。危険エリア侵入検知と現場のWi-Fiネットワークに接続できる機能をリリースというニュースをお届けします。
※1 作業者安全モニタリングシステム: センサ技術とIoTを活用した、ヘルメットや作業帽に装着可能なセンサデバイスにより、作業者の生体情報と周囲の環境情報を計測し、現場監督者や事務所スタッフの方が作業者の安全を遠隔から確認できるシステムです。計測されたデータを元にした熱ストレス・転倒・落下判定や、緊急通報のアラート通知により、現場監督者が適切に作業者の健康管理を行うことができます。
作業者安全モニタリングシステム

図1 作業者安全モニタリングシステム 概要図
機能追加の背景
昨今の建設就労者の減少、現場の作業者の高齢化などにより、建設業界において安全で快適な作業環境を整備する必要性がますます高まっています。
さらに近年、夏の暑さが厳しくなり、作業者の健康不良を事前に認識し、具体的な対策をとることが困難なケースが多くみられました。
そのため、村田製作所と戸田建設が協業し、生体情報や作業環境をモニタリングする本システムを2019年5月に開発し販売してまいりました。
その後、熱中症対策や一人作業の見守り、転倒検知用途などで広くご利用いただいておりますが、より一層の安全管理機能や利便性向上の機能追加により、現場の安全課題の解決にお役立ていただける安全管理トータルソリューションを目指しています。
今回の新機能は、一人一人に装着しているメリットをさらに生かすべく、セキュリティ対策と通信エリアの拡大を行いました。
危険エリア侵入検知機能
村田製作所保有のアンテナ設計技術により開発した指向性ビーコンタグでエリア侵入を検知します。
本機能の特徴
- 本人のヘルメットセンサへブザー通知
- 管理者へのメール通知
- 職種ごとに侵入可否の設定が可能
- ビーコンタグは電池交換無しで1年以上利用可能
- セキュリティバーへの簡単設置、配置換え
戸田建設の現場でトライアルを実施済で、今後、多くの現場での活用を進めていきます。

Wi-Fi通信対応機能
これまで作業者安全モニタリングシステムの利用が難しかった山間部や地下、トンネル内などのLTE圏外の場所でも、Wi-Fiネットワークが敷設されている場合には、別途Bluetoothゲートウェイをご準備いただくことで利用可能となります。
戸田建設が施工した小諸村田製作所A2棟建設現場でトライアルを実施し機能の確認を行いました。戸田建設では建設DXとして、現場にWi-Fi環境を敷設することが増えており、LTE圏外となる地下や高層階での活用が期待されます。

資料引用:戸田建設
おわりに
おなじみの民間気象企業、ウエザーニュースが2023年の夏の暑さの見通しを6月に発表しています。厳しい内容ですが、今年の夏(7月~9月)の気温は、全国的に平年より高く、暑い夏になりそうです。7月下旬から8月初旬にかけて暑さのピークを迎え、太平洋高気圧とチベット高気圧の張り出しが重なるタイミングで西日本や沖縄を中心に猛暑となるとのこと。
加えて、8月は中旬以降で暑さの和らぐ時期がありそうですが、西日本や沖縄を中心に平年より高く、残暑が厳しくなりそうです。
9月は全国的に高温傾向となり、前半を中心に残暑が厳しくなりそうです。

こうした気象環境から、建設現場では、特に夏の暑さへの対策が重要であり、IoTを活用した新機能により熱中症対策がより強化されることで、作業者の健康リスクを低減し、より安全な作業環境を実現することが急務です。同時に、現場のデジタル化により遠隔からの監視や通信が容易にすることで、安全管理の効率化が進み、より迅速な対応が求められています。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□戸田建設株式会社
リリースニュース
https://www.toda.co.jp/news/2023/20230718_003229.html