概要
本日は株式会社奥村組（以下、奥村組）・淺沼組・熊谷組・五洋建設・佐藤工業・西武建設・東亜建設工業・東京ソイルリサーチ・戸田建設・西松建設・長谷工コーポレーション・ベターリビング・松村組の13法人は、共同研究により開発した杭（基礎杭）の簡易載荷試験方法と、その管理団体「杭の簡易載荷試験協会」を設立というリリースニュースをお届けします。
人力による『杭の簡易載荷試験』
本試験は、杭頭に人力による打撃を加えることで、杭の荷重変位関係を評価できる新しい試験方法（特許第7046126号）（図1）。
インパルスハンマーで杭頭を打撃した際の瞬間的な荷重と、モーションセンサから出力される瞬間的な杭頭の動きの比例関係から荷重変位関係を評価します。
本試験方法に係る知的財産について、本協会は共同研究メンバー13法人の代理として活動し、第三者からの問合せ対応や特許の実施許諾をワンストップでスムーズに行います。
本試験の概要
杭の施工不良が原因とされる建物の傾斜について大きく報道されてから、杭の性能確認への関心は高まっています。
また近年では、経済的合理性と環境負荷低減の両面から、建替え物件において既存杭を再利用する機会が増大しており、このようなケースでも既存杭の性能を確認する必要があります。
本試験は、従来の大がかりな載荷装置を、インパルスハンマーによる人力の打撃で代替するもので、従来式の杭の載荷試験と比べて、以下の特長を有します（従来方法との試験結果の比較例は図2のとおり）。
大がかりな載荷装置を必要とせず、低コストでスピーディーに杭の荷重変位関係を評価できます（水平載荷、鉛直載荷のいずれも）。共同研究で本試験を実施した際には、従来法では500万円の費用と4週間の期間を要した試験を、20万円、2名体制で30分以内に完了しました注）。
従来法よりも簡易な手法で多くの杭の性能を評価できるため、建物の傾斜を防止するとともに、既存杭の再利用に関する安全性が向上する等のメリットが期待できます。
人力による打撃を用いるため、非常に小さい荷重範囲での載荷試験となり、杭と地盤に影響を与えない非破壊試験技術です。
注）本試験にかかる費用および時間については、杭や地盤の条件、現地の作業環境に応じて変動しますので、予めご了承下さい。
今後の展開
奥村組は、今後、本協会の一員として、本試験方法の積極的な普及・展開を図り、杭の品質・性能確保に努めてまいります。
・協会HP
https://www.simpleplt.org
資料引用：奥村組
おわりに
インパルスハンマー試験は、主に建築や構造物の耐震性能を評価するために行われる実験ですが、
土木現場での杭の荷重変位関係を評価に転用した奥村組ならびに13法人。
杭が地盤にしっかりと打ち込まれ、固定されているからこそ、橋梁、病院、学校など、人々の安全に関わる建物の基礎となりえる。この新たな試験結果をもとに、必要な補強や改修が行われることで、建物の安全性を向上させることでしょう。
【本件に関するお問合せ先】
□株式会社奥村組 技術本部 技術研究所 企画・管理グループ
リリースニュース：http://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2023/post-40.html
担当 ： 岸本 剛 （電話 029-865-1809）
