概要
三井住友建設株式会社(以下、三井住友建設)は、既設橋梁の鉄筋コンクリート(RC)床版の維持管理において、変状の調査・診断から補修・補強設計に至る一連の業務を省力化する「床版維持管理システム」を開発というリリースニュースをお届けします。
ロボット技術✕AI✕自動設計ソフトの活用で作業時間が1/2
本システムは、自走式点検ロボットによる調査やAIによるひび割れ診断、自動設計ソフトによる最適補修・補強設計を組み合わせています。このたび高速道路床版補強工事において試験運用を行い、一連の維持管理業務の作業時間が1/2になり生産性が大幅に向上することを確認しました。
【「床版維持管理システム」を用いた調査作業の様子】
開発の背景
高度経済成長期に建設された橋梁は、供用後50年を経て老朽化が進行し適切な維持管理が必要とされています。特に高速道路橋のRC床版では、車両の大型化や走行台数の飛躍的な増加によるひび割れ、漏水、抜け落ちなどの変状が多く報告されています。
こうしたRC床版の維持管理は、狭隘な足場上での近接目視調査に始まり、損傷図作成や損傷度判定、補強設計等を人手による作業で行っています。そのため、工事着手までに時間と費用を要しており、生産性向上が課題となっています。
そこで三井住友建設では、調査・診断から補修・補強設計に至る一連の業務を省力化する「床版維持管理システム」を開発しました。
本システムの特徴
[1] 自走式点検ロボットによる調査
近接目視やRC床版の部材寸法計測など人による調査作業の代わりに、軽量でコンパクトな自走式点検ロボットが自動撮影して調査を行うため苦渋作業もなく安全性が向上します。
[2] AIによるひび割れ診断
自走式点検ロボットが取得した正確で高精細な調査結果を、AIが損傷度合いの評価・判定を行うため、損傷の見落とし、誤認が低減でき、信頼性が向上します。
[3] 自動設計ソフトによる最適補修・補強設計
AIによる評価・診断後、自動設計ソフトによるシート補強材の最適配置、CAD図面作成、数量計算を行うことで、設計業務の効率化が図れるとともに工事費用の経済性が向上します。
【本システムを用いた業務の流れ】
本システムの導入による効果
従来手法では、調査・診断から補修・補強設計に至る一連の業務に1径間あたり約40時間を要していましたが、本システムの導入により20時間で完了し、より効率的で迅速に損傷評価と補修・補強設計を行うことができます。
【従来手法と本システムとの作業時間比較】
今後の展開
建設業界では、技術者の高齢化と若年層離れによる担い手不足が大きな課題となっています。三井住友建設では建設現場における生産性向上やICT活用による働き方改革を推進しています。
今後は、本システムをMR(Mixed Reality:複合現実)技術と組み合わせ、建設現場での利用に適したデジタルツインを構築することにより、さらなる生産性向上と信頼性向上を進めてまいります。
資料引用:三井住友建設
おわりに
今回取り上げた、橋梁床版の診断・補修設計に特化した鉄筋コンクリート(RC)床版の維持管理を行う自走式点検ロボットということなのですが、弊社スギテックでは、大平面クラック調査に特化したシステムを構築しております。
調査範囲場面としては異なりますが、やや近い解析内容ですので、転用次第では競合する技術なのではないかと、興味深いリリースニュースとライターは察知しました。今後も注視したいと思います。
参考・関連情報・お問い合わせなど
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