概要
株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)が、アメリカの建築環境コンサルティング事務所Loisos+Ubbelohde ※と共同で、「ZEB」の検討に必要となるZEB設計ツール「ZEBIA(Zero Energy Building Integrated Analysis、ゼビア)」を開発し、あわせてZEB設計を効率的に実施する手引書となる「ZEB設計ガイドライン」を整備しました。4月より社内に全面導入し、使用を開始したというリリースニュースをお届けします。
(※)Loisos+Ubbelohde:UC Berkeley名誉教授のSusan UbbelohdeとGeorge Loisos主宰。カリフォルニアを拠点にする建築環境コンサルティング事務所。
快適性とデザイン性を兼ね備えたZEBをスピーディーに提案
これにより、設計の初期段階で時間を要していたエネルギー消費量や快適性などの環境性能の検証期間が半分程度となります。また、お客様が求める条件を設計に適切に反映し、シミュレーションの結果を見ながらお客様と一緒に条件等を変更できるため、お客様に寄り添った提案が可能になります。
CO2排出量削減がお客様の事業目標の一つと位置付けられる中、竹中工務店は、お客様と一体となって「ZEB」の普及・拡大を図り、削減目標の達成に貢献していきます。
「ZEBIA」の特長
自然エネルギーの利用を最大化させる検討、エネルギー削減や快適性の追求を並行して検討するなど、「ZEB」を達成するために必要となるツールが網羅されています。
また、これらのツールがスピーディー、シンプル、かつパワフルに機能することで、お客様に寄り添った検討が可能になります。
1.スピーディー:デザイン検討と環境性能評価を同時に実行し、短時間で意思決定が可能
従来は、デザインの検討後に環境シミュレーションによる検証を行い、数週間の時間を要していました。本ツールは初期のデザイン検討と並行して環境シミュレーションを行うことで、半分程度の期間で性能を検証し、方針を決めることが可能になります。これにより、お客様のCO2削減目標への貢献度合いを早い段階から判断できます。
2.シンプル:お客様のニーズを反映したシミュレーションでZEBを達成
「ZEBIA」は、設計フローと手順を体系化した「ZEB設計ガイドライン」と共に活用します。
計画に必要な条件が整備されたデータベースから選択する単純な操作で、設計に適切に反映していきます。お客様のニーズに応じ、インタラクティブに合意形成を図りながら「ZEB」を実現できます。
3.パワフル:複数のシミュレーションを同時に実行し様々なデザイン検討が可能
従来、個別に検討し、時間を要していた様々な検証を、検討パターンごとに類型化したテンプレートを使用することで即座に実行できるようになりました。
例えば、敷地周辺の気象データを基にエネルギー消費量や光・温熱環境等を同時に検証することができます。これにより、快適でかつ、エネルギー性能に優れた建築を提案できます。
資料引用:竹中工務店
おわりに
あらためて「ZEB」とは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称です。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。
建物の中では人が活動しているため、エネルギー消費量を完全にゼロにすることはできませんが、省エネによって使うエネルギーをへらし、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味でゼロにすることを目指します。
ちかいところで、環境配慮建築も住まいのライフサイクルと自然に与える影響を考え共生を目的とした住宅もそうでしょう。省エネルギーや建物の長寿命化、省資源やエコ資材、地域との共生などが大きな目標と言えます。
例えば、創エネ・省エネ・断熱対策によりエネルギー収支ゼロを叶えるゼロエネルギーハウスやアクティブな冷暖房器具をできるだけ使用しないパッシブハウスが該当します。
竹中工務店が公開した「ZEBIA」の動画をみるかぎり、BIMデータを駆使し、まさにゲームのように建造物の形状シミュレーションし、建物で消費する年間の一次エネルギーをゼロにできるかというZEB設計ツールでした。国土交通省も2025年度にBIM確認申請の試行を開始していることもあり、建築分野におけるBIM活用・デジタルデータ活用の普及を図ろうとしています。
「ZEBIA」のリリースはその布石とも言えるでしょう。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□株式会社竹中工務店
リリースニュース:
https://www.takenaka.co.jp/news/2023/05/02/