概要
戸田建設株式会社(以下、戸田建設)と日本モウルド工業株式会社(以下、日本モウルド工業)は、古紙を原材料としたパルプモールド材に改良を加え、国土交通大臣より不燃材料の認定(認定番号:NM-5548)を取得しました。建物の内装仕上げに使用する事が可能となるため、環境負荷の小さいエコ素材として、天井材をはじめとする様々な部位への活用が期待できます。その詳しい内容をみつめます。
パルプモールド材が不燃材料の認定を取得
開発の背景
持続可能な社会の実現に向け、化石燃料を原料としたプラスチック製建材の削減とともに、再生可能な材料の活用が求められています。
古紙を原材料とし梱包材等で使用されるパルプモールド材は、使用後もさらに再利用可能であるという点で、環境負荷の小さいエコ素材ですが、可燃性が高いため、内装材等の建材として使用するには難しい状況でした。
そこで、パルプモールド材を不燃材料とする開発を進めてまいりました。
本技術の特徴
本技術は、原材料の古紙に添加材を配合し、難燃処理を施すことにより、パルプモールド材を不燃化するもので、以下の特徴を有します。
脱炭素化
化石燃料由来の材料の使用を削減した環境配慮型の建材となります。
また、軽量、かつ重ねることが可能なため、運搬時に排出されるCO2を削減できます。
省力化
非常に軽量であるため、施工の省力化が図れます。
意匠性
型材を使用して成形するため、自由な形状とすることが可能です。
吸音性
凹凸の大きい形状とすることで、高い吸音性能を発揮します。
資料引用:戸田建設
おわりに
パルプモールド材は、再生紙パルプを原材料として作られる環境に優しい素材であり、耐水性が高く、軽量でありながら強度があります。
この特性から、建築資材への転用の可能性は以前から考えらて来ました。
今回の戸田建設と日本モウルド工業が共同開発した古紙を原材料とした建材に見るように、内装材や吸音材、断熱材としての活用、そして、建物の解体後もリサイクルが可能なため、サーキュラーエコノミーを実現する上でも有望な素材と言えるでしょう。
しかし、現状では建築業界での使用はまだまだ限定的であり、耐久性や耐火性についての課題も残っているのも事実ですが、今回の国土交通大臣からの不燃材料の認定で利用の歩みに弾みがつきました。今後の活用と資源循環に期待が寄せられています。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□戸田建設株式会社
https://www.toda.co.jp/news/2023/20230315_003181.html
□日本モウルド工業株式会社
https://www.mold.co.jp/