概要
本日は、株式会社奥村組(以下、奥村組)が、既設鉄筋コンクリート(以下、RC)構造物の補強工事に用いられる”あと施工せん断補強工法”において、せん断補強筋挿入孔の削孔作業を効率化するために開発した大径用自動削孔装置(2020年8月発表。以下「本装置」)を、実工事に適用し、所定の性能を有することを確認したリリースニュースをお届けいたします。
大径用自動削孔装置を実工事に適用
大径用自動削孔装置は、比較的削孔径が大きく(最大径φ40mm程度)、削孔長が深い挿入孔に適用するものです。
空圧削岩機が削孔方向に最大1,200mm、上下方向に最大1,750mm、左右方向に最大500mmの範囲で移動し、計画(削孔位置、削孔深さ、削孔数)に従って自動削孔します。
構造物内の事前探査で把握できなかった鉄筋等に接触した場合は、制御機能により当該箇所の削孔作業を自動的に中断し、次の箇所に移ります。
また、削岩機の先端部に装備した集塵カバーをコンクリート表面に押し付け、集塵機で吸引することにより削孔時に発生する粉塵の飛散も防止します。(写真-1、表-1)
実工事への適用
これまでにRC壁試験体を用いた性能確認実験で人力施工と同等の精度を確保できることを確認していましたが、今回、実工事(東京都下水道局発注の蔵前水再生センターほか1か所放流渠吐口耐震補強工事(台東区))において、本装置を初めて適用し、性能検証しました。
その結果、放流渠約20m区間の側壁に、170カ所のあと施工せん断補強筋の挿入孔(削孔径φ34mm)を計画通りに自動削孔するとともに、施工データも自動で記録することができました(写真-2、3)。
実工事での適用により、本装置が要求される削孔精度を確保しつつ、削孔作業の効率化を実現できることを確認しました。
資料引用:奥村組
おわりに
ウォータージェット工法を利用した「はつり」作業を自動化するカッターロボットも稼働する昨今ですが、大径削孔作業に新風を入れた奥村組。
この装置の大径なら、今後、削孔作業から広範囲な「はつり」施工へと転用も考えられるのではないかとふと思うライターでした。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□株式会社奥村組
リリースニュース:http://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2023/-rc-1.html
技術本部 技術研究所
三澤 孝史( みさわ たかし )
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