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BIM/CIMデータを用いた建設プロジェクトにおける工場や下請業者の発注先選定システム「ceam」を発表。

sugitec

概要

グローバルに展開している株式会社mign(以下、mign)が、2023年2月、建設プロジェクトにおける工場や建設業者の発注先選定システム「ceam」を発表しました。建設現場だけでなく、製造業や自動車、小売業など他業界でも応用可能というリリースニュースをお届けします。

発注先選定システム「ceam」

背景

mign website

ゼネコンなどの元請業者は、多くの協力工場や協力会社を持ち、それらとのコミュニケーションは電話でのやり取りが多くあります。
そのため、各建設プロジェクトやその工程でコストや納期を聞き出し、最適な発注先を探すことに多くの時間がかかっています。
最近は、BIM/CIMが急速に発展、普及しており、建設プロジェクトの詳細情報を簡単にエクスポートできるようになりました。発注先選定システムceamでは、BIM/CIMからエクスポートされる建設プロジェクトに関する情報を、提携する工場や下請業者が確認し、コスト・納期を入力し、プロジェクトに応募することができます。そして、ゼネコンなどの元請業者はすべての候補者の条件(費用、納期)を比較検討し、最適な発注先を選択することができます。

建設工事の場合のユースケース

① 元請業者は、すべての出資工場と下請け業者をceamに登録する。

② 元請業者は、プロジェクトの詳細情報、設計図、CGパース、3Dイメージ、集計表、積算表、工数表、納期などの情報やファイルをアップロードします。

③元請企業は、プロジェクトの工程を設定します。

④提携する工場、下請業者に自動でメールを送信します。

⑤工場、下請業者はプロジェクト情報を確認し、対応可能な会社は費用や納期等の情報を入力し、応募します。

⑥元請会社が各応募会社の条件(コスト、納期)を比較し、プロジェクトにアサインする工場と下請会社を決定します。

⑦応募者に採否のメールを自動送信します。

機能

・BIM/CIMエクスポートファイルのアップロードとダウンロード(画像とcsv)
・応募会社である工場、下請業者間の条件比較
・複数のプロジェクトの管理

カスタマイズの例
・工場や下請業者を評価するシステム ($8,000 を 1 か月で提供)
・機械学習によるコスト予測や建材の需要予測などの分析 (8,000 ~ 24,000 ドル、1-3 か月で提供)
・様々なニーズをお手頃な価格で調整。お気軽にご相談ください。(エンジニア月額 $8,000-16,000)

料金

SaaS 初期カスタマイズ料金 ($8,000 -) + 保守料金 ($350 -) ご面談後、お見積。

提供まで流れ

①面談、②要件の検討、③お見積り、④初期セットアップ、⑤提供、の流れで最短1か月程度で提供開始が可能です。

応用可能領域

建築、土木、製造、小売

資料引用:mign

おわりに

この発注先選定システム「ceam」、リリース記事を拝見すると効率的なコスト削減と納期短縮が期待されます。しかし、現在の日本の建設業界下でいくつかの懸念があるように思えます。

□技術的な問題点
現在の日本の建設業界のBIM/CIMデータ導入は過渡期でもあり、BIM/CIMデータを活用するための技術的なハードルが存在すること。
残念ながら、特に中小規模の工場や下請業者が技術的な要件を満たしていない場合、システムへの参加が困難になる可能性があります。

□安全性の問題点
セキュリティ対策は万全と仮定したとしても、建設プロジェクトの情報は機密性が高く、第三者に漏洩する可能性があります。

□関与者の問題点
システムを利用するためには、元請業者や工場、下請業者など、多数の関係者が必要です。
多数の関係者がシステムにアクセスするための教育等が必要になります。
また、システムに登録されていない工場や下請業者も存在するため(孫請けや職人等)、システム全体の効果的な運用には課題が残されます。

□産業構造の変化
工場や下請業者の選定が自動化されることによって、従来のような縁故のある人間同士のネットワークが形成されなくなる可能性があります。これにより、建設業界の産業構造やコネクション形成に変化が生じるのではないだろうか。

□統一性の問題点
建設プロジェクトには、様々な分野の専門家が関わります。
しかし、「ceam」はあくまでも発注先選定システムであり、設計や施工に必要な技術的な詳細はどこまで含まれた条件提示なのでしょうか。よって、統一性のある建設プロジェクトの進行ができるかどうかは、未知数な点もあるでしょう。

やや深掘りな懸念をリストにしてみましたが、
選定の公正性が問われる意味においては、公共事業の競争入札案件等に導入されれば、効率的な発注先選定が図れるかもと、ふと考えるライターでした。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□株式会社mign
未来の都市や社会をつくることを目指し、先端技術を活用したソフトウェア・ハードウェア開発に取り組んでいます。
https://www.mign.io/

リリースニュース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000100410.html

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