概要
本日は株式会社NTT e-Drone Technology(以下、NTTイードローン)が、
世界初の量産型LTE対応ドローン「ANAFI Ai」の提供を開始というリリースニュースをお届けします。
世界初の量産型LTE対応ドローン「ANAFI Ai」とは
NTTイードローンは、昨年4月よりSkydio社製品を提供し、設備点検における作業者の安全確保、作業の効率化に貢献してきました。
一方で、災害対策や業務用空撮の分野では、より広範囲の状況を把握したい、悪天候時でもいち早く状況確認をしたい等のご要望を頂いてきました。
このようなニーズをふまえ、「機能」「セキュリティ」「サポート」の観点から、自治体や公共事業に関わる法人向けに最適な機種を検討した結果、セキュリティ対策を確保したうえで、空撮時に地上の様子を高精細に撮影可能なカメラ性能に優れ、LTE上空利用への対応や防水防塵性能IP53に対応した欧州最大手のドローンメーカーであるParrot社製のANAFI Aiの提供を開始します。
加えて、米国政府機関向けに開発されたセキュリティ対策に優れ、赤外線カメラを搭載した空撮ドローンであるANAFI USAの提供も開始します。
NTTイードローンでは、農業分野をはじめとして自らドローンを開発製造可能なケイパビリティ(「全体の組織力」や「組織固有の強み」)を活かし、地域の皆さまが必要とする最適なドローンの提供とともに、導入後も安心・簡単に運用いただけるサポートを提供します。
ANAFI Ai 世界初の量産型コネクテッドドローン
4つの特長
LTE上空利用に対応
誰でも、どんな通信機器でも、無料で自由に利用できる2.4GHzは、ドローンやロボット、産業機器、センサー等で広く用いられている周波数です。
しかし、誰もが自由に利用できるため、2.4GHzは、様々な通信アプリケーションによる電波で満ちています。各機器は独自のチャネルやプロトコルを使っていますが、その範囲は大きくオーバーラップしているため相互干渉は避けられません。
そのため、各機器は周波数ホッピングやOFDMなど干渉に強い変調方式を使うといった工夫を盛り込み、通信の信頼性確保を図っています。それでも、無数の利用者が存在する2.4Ghzを利用する以上、ドローンと送信機(プロポ)の間の通信がときには200mほどしか届かない場合もありました。
ANAFI Aiは、この問題を解決するために機体にLTEモジュールを搭載し、NTTドコモ等が提供する上空LTEの利用を可能としています。
これにより技術的には、LTEエリア内であれば、世界中どこからでもANAFI Aiを操縦することが可能となりました。
ただし、実際には航空法への対応や、通信の遅延への対処から、基本的には目視内飛行且つ安全に十分に留意(飛行速度を制限等)した運用が必要となりますが、これまで飛行が難しかったエリアでもクリアな空撮映像や動画を届けてくれるのがANAFI Aiです。
なお、ANAFI Aiでは、Wi-FiかLTEを用いるのかは電波強度を確認し自動で判断し切り替えています。
例えば、安定したWi-Fi通信環境では、データの消費を抑えるために自動でWi-Fiに切り替わります。
逆に、Wi-Fiの電波強度が低い場合には、LTEに自動で切り替えます。このように、通信状況に合わせてWi-Fiと4Gネットワークが自動的に選択されるため、障害物や建物が多い環境や、電波干渉がある環境でも、機体と送信機(プロポ)の安定した接続を維持することができます。
※ANAFI Aiはレベル4には対応していません
※リモートIDを外付けする必要があります
※航空法に対応するため、必要に応じて現地に監視員などを配置する必要があります
4800万画素×6倍ズーム
ANAFI Aiのカメラに採用された4800万画素のセンサーと精密なシャープネスアルゴリズムを組み合わせることで高精細な静止画を撮影することができます。
さらに、6倍のデジタルズームを使用することで、ANAFI Aiのユーザーは、75mの距離から1cmサイズの詳細を確認することができます。
4K動画を1080pにトリミングしても、画質はほとんど劣化しません。LTE上空利用と組み合わせて利用することでこれまで撮影が難しかったエリアの高精細な空撮が可能となります。
レンズはANAFI Ai向けに特別に設計されたレンズです。
6枚の非球面レンズを採用し、低光学フレア用に最適化されています。このレンズは、標準ビデオモードでHFoV 68°、標準フォトモードでHFoV 64.6°を実現しています。
防水防塵対応(IP53)
ANAFI AiのIP53規格は、防塵性と雨天時の飛行に対する防水性を保証します。
ミッション中に遭遇する可能性のある最も困難な飛行条件に耐えられるように設計されています。
フォトグラメトリーを手軽に
ANAFI AiとPIX4Dのオンラインプラットフォームを組み合わせることで、ユーザーはこれまで以上に迅速かつ効率的にフォトグラメトリーを実現することができます。
UAV空撮画像からデジタルツインを作成する過程で、ファイル転送と写真処理は2つの時間を要する作業です。ANAFI Aiは、お客様のワークフローのスピードアップをサポートします。
- ドローンの4G回線を利用して、飛行中に画像をセキュアなサーバーに転送可能
- フライト終了後にすぐに計算を開始:オルソモザイクマップ、点群、標高モデル、テクスチャメッシュ
- 測量用の2Dマップや3Dモデルを共同研究者やクライアントと簡単に共有することができます
2.安心・簡単な購入と運用を支えるオプションサービス
(1)ANAFI Ai マスター講習
ANFI Aiに関する基礎的な知識、操作方法等に加え、Parrot Free Flight7アプリを用いたLTE上空利用の利用方法を講習します。購入にあたってANAFI Aiマスター講習の受講は必須ではありませんが、安心してご利用いただくために受講をお薦めしています。
(2)先出しセンドバック
災害時利用でも業務利用でも、ドローンを飛行させたいときに不具合等で飛行させることができない場合、様々な損失が生じます。購入いただいた機体に何か問題があった場合に、翌営業日に代替機を発送するサービスも提供します。
(3)DIPS2.0申請サポート
DIPS2.0のアカウント取得から最初の飛行計画通報までをサポートします。
また、包括飛行申請の代行申請を利用されたい場合、実績豊富な行政書士を紹介可能です。
(4)補助金サポート
補助金を活用して購入された場合、実績豊富な行政書士や中小企業診断士をご紹介可能です
3.レンタル対応
お試しで利用されたい場合や、特定の時期だけ利用されたい場合のレンタルにも対応します。
レンタルにはNTTドコモが提供するLTE上空利用SIMが含まれています。
4.価格(税抜)
ANAFI USA 米国政府機関のセキュリティ対策に準拠
4つの特長
32倍ズーム&赤外線
消防の現場では、消防士は特に重要なエリアを見て、全体的な状況を明確化する必要があります。
ANAFI USAドローンの高度な光学機器、ジンバル、および対物レンズは、この目的のために設計されています。
32倍ズームは2台の21メガピクセルカメラを中心に構築されており、オペレーターは最大5kmの距離からシーンを詳細に見ることができます。ANAFI USAは、50mの距離から1cmの細部を正確に見つけることができます。32倍ズームによる画像安定化は、デジタル処理によって得られた画像と3軸のデジタル手ぶれ補正を組み合わせることで、これを実現しています。
防水防塵対応(IP53)
ANAFI USAのIP53規格は、防塵性と雨天時の飛行に対する防水性を保証します。ミッション中に遭遇する可能性のある最も困難な飛行条件に耐えられるように設計されています。手ぶれ補正により、最大15m/sの突風でも、非常に高品質の画像が保証されます。
迅速で簡単な操作性
災害の現場では、迅速に運用できる必要性があります。この重要な制約を満たすために、ANAFI USAは、展開、スイッチオン、安全な無線接続の確立、離陸までを、僅か55秒未満で行うことができます。
ANAFI USAは、GPSを使用せずに建物内でも操縦できます。屋内で離陸後、窓から外に移動し、ミッションが完了すると出発点に戻ります。
ANAFI USAはわずか500gの重さで、折りたたんで持ち運びに便利です。小型で非常にコンパクトなサイズで、飛行時間は32分となります。
米国政府機関向けに開発
ANAFI USAは、Parrotが米国政府機関向けに開発したハイエンドサービス(安全性、耐久性、最先端の画像品質)を提供しています。消防をはじめとする災害の現場等において一刻を争う業務で十分に使える防水防塵、可視光・赤外線カメラ、高度なセキュリティを実現しています。
その暗号化およびデータ機密性機能は、欧州の一般データ保護規則(GDPR)に完全に準拠しているため、機密性の高いミッションに最高レベルのプライバシーとセキュリティを保証します。
2.安心・簡単な購入と運用を支えるオプションサービス
(1)ANAFI USA マスター講習
ANFI USAに関する基礎的な知識、操作方法等に加え、Parrot Free Flight6の利用方法を講習します。購入にあたってANAFI USAマスター講習の受講は必須ではありませんが、安心してご利用いただくために受講をお薦めしています。
(2)先出しセンドバック
災害時利用でも業務利用でも、ドローンを飛行させたいときに不具合等で飛行させることができない場合、様々な損失が生じます。購入いただいた機体に何か問題があった場合に、翌営業日に代替機を発送するサービスも提供します。
(3)DIPS2.0申請サポート
DIPS2.0のアカウント取得から最初の飛行計画通報までをサポートします。また、包括飛行申請の代行申請を利用されたい場合、実績豊富な行政書士を紹介可能です。
(4)補助金サポート
補助金を活用して購入された場合、実績豊富な行政書士や中小企業診断士をご紹介可能です。
3.レンタル対応
お試しで利用されたい場合や、特定の時期だけ利用されたい場合のレンタルにも対応します。
4.価格(税抜)
資料引用:NTTイードローン/Parrot
おわりに
ご存知の様にParrot社は、1994年に創業したフランスのメーカー。ドローン業界では老舗的な企業です。もともとはスマートフォン関連のアクセサリーやワイヤレス音響機器などを開発してきた会社ですが、2019年にはミニドローン(ローエンド)から事業を撤退し、ハイエンドドローンであるANAFIを主体とした経営に方針転向しています。
転向要因は中国のドローンメーカであるDJIに対して、競争力のある製品を打ち出せなかったことがあげられます。Parrot社はというとシェアは第2位とはいえ、DJIとのシェア差は歴然なため、Parrot社がミニドローン業界から撤退するのも選択だったのでしょう。
しかし、「Parrot ANAFI」シリーズは、重量は320g、最大解像度:4K Cinema 24fps, 4K UHD 30fpsという仕様。
飛行時間は最長25分。ANAFIはフライイング4KHDRカメラを搭載。フレーム素材はFRPを基本としたものであり、軽量化を目指して設計されています。3秒以内で起動し、すぐに飛行することができます。
使用用途でも、屋外での火災の対応、山での遭難者の探索、建物の監視、測量や検査などの実施が想定され、赤外線サーマルイメージ搭載で、視認性の悪い山沿いの探索でも遭難者を探し出すことができます。この機体の性能レベルで米陸軍向けに開発されていたParrot社の近距離偵察機ドローンと同レベルであることから、画像データのセキュリティ性も高く、EU(欧州連合)の一般データ保護規則(GDPR)基準も満たしていることがNTTイードローンが導入を判断した材料の一つでしょう。
2023年、Parrot社の巻き返しが日本市場で始まろうとしている。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□株式会社NTT e-Drone Technology
リリースニュース:
https://www.nttedt.co.jp/post/anafi_20230131