東急建設
国内最大級!大深度で 3,700m3 に及ぶ凍結工法の動画公開。

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概要

「凍結工法」とは?どのような工法なのか?浸水被害から街を守るための隅田川幹線トンネル拡幅工事を25分の動画ドキュメンタリーで綴る東急建設株式会社(以下、東急建設)の大深度の下水道トンネルの地中拡幅工事に迫るという記事をお送りします。


「凍結工法」とは

「凍結工法」正しくは「地盤凍結工法」。
地盤凍結工法は土木工事を安全確実に行うために人工的に地盤を凍らせる工法で、
1862年に英国のウェールズで鉱山用立坑を作るのに用いられたのが最初と言われています。

わが国では京都大学の故村山朔郎教授の提唱により、1959年に株式会社精研と京都大学防災研究所村山研究室による共同基礎研究が開始され、
外国技術の導入なしに独自に実験及び理論解析が進み、1962年に大阪府守口市の水道管敷設工事で初の施工が行われました。

「地盤凍結工法」は地盤改良工法に分類される一つ。
セメントのように固まる材料を使用する工法が広く用いられていますが、「地盤凍結工法」は、地下水を含む土を凍らせることにより地盤を固めます。

凍結した土は、水を通さず、コンクリートと同じくらいの強度があるので、地下水の噴出や土砂の崩壊のリスクを少なくすることができます。他の工法と比較しても、止水性、強度ともに非常に高く、信頼性の高い工法です。

工事完了後は、凍結した土を融解させますので、基本的には地中に何も残すことなく、元通りにできることから、環境にやさしい工法とも言われています。
ただし、一般的にコストは割高となるので、地中の深い場所での工事など、難しい工事に適用されることが多い工法です。

地盤を凍結する方法ですが、凍結管と呼ばれるパイプを埋設し、ブライン(不凍液)を凍結管に循環する方式が一般的。

ブラインの温度は通常-30℃程度で、食品冷凍倉庫で使用されるような大きさの冷凍機を使用して循環するブラインを冷却します。
凍土は凍結管の周りに年輪状に成長し、やがて隣接する凍結管の周りの凍土と結合して、壁のような平板状の塊となります。

工事の規模により異なりますが、10~20日で必要な凍土が出来上がり、数カ月で掘削を含む建設工事を完了させて(この期間中、冷凍機は運転し続けて凍土を維持します。)、その後、今度は温かいブラインを循環して凍土を融解します。比較的小規模な工事では、ブラインの代わりに液体窒素を使用するケースもあります。
また、地球温暖化緩和に向けた冷凍機の省エネ化や、施工の合理化も進められています。
最近では、福島第一原子力発電所の凍土遮水壁に適用されたことや、2020年の東京オリンピックに向けたインフラ整備事業においても適用されていることから、この「地盤凍結工法」が注目されています。

引用資料:株式会社精研

前人未到の凍結工法によるトンネル地中拡幅工事

東急建設は 、国内最大級となる 3,700m3の凍土を造成する「凍結工法 ※ 1」を用い、 地下40mの大深度において下水道トンネルの地中拡幅工事を実施しました。
この過去に前例のない難工事の模様を収めたドキュメンタリー動画を制作し、 YouTube に公開いたしました。

※ 1
「凍結工法」とは、地中に凍結管を埋設し、その中に冷却液を流すことで、地盤を地下水と
ともに凍結させ、その強度を上げる工法です。
「前人未到の凍結工法によるトンネル地中拡幅工事」~隅田川幹線その3工事~

「隅田川幹線その3工事」は 、地域の浸水被害を軽減するため、東京都足立区の一部流域の雨水を収容する内径 4,750 ㎜の幹線を地中で拡幅する工事です。
これにより、下流で建設中の千住関屋ポンプ所を結ぶ内径 5,500 ㎜の幹線を地中で接続することが可能となります。
拡幅部の直上には 、幹線道路(墨堤通り)と複数のライフラインの埋設物があり、鉄道施 設(京成本線)にも近接しているため、安全性を考慮し凍結工法が採用されました。
約 25 分の動画では、専門性の高い凍結工法について 3D シミュレーションなどを用い、わかりやすく解説するとともに、前例のない難工事に挑戦する技術者の想いをドラマチックに表現しました。

トンネル地中拡幅工事では、凍土管理・制御を 2016 年 5 月から約 2 年にわたり24 時間体制で行いました。凍結・解凍に伴う地盤の隆起や沈下を測定するため 1,500 点以上の計測点を設け、CIM※ 2 を用いて、見える化、一元的に施工管理を行うことで、最重要テーマとした安全性を確保しました。

結果的に、影響範囲内にある鉄道施設や幹線道路などの重要な社会インフラに影響を及ぼすことなく終えることができ、土木学会技術賞など数々の評価をいただきました。

東急建設では、 2030 年 を到達点とする長期経営計画において、3つの提供価値「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を経営の軸として掲げております。「防災・減災」に資する取組みの一環として評価いただいたことはこの上ない喜びであります。

今回の動画を通じて、インフラ整備の重要性を広く知っていただけましたら幸いです 。

※ 2. 
CIM は 2012 年に国 交省によって提言された建設業務の効率化を目的としたシステムで、BIM と同様に、 3 次元モデルを中心に関係者間で情報共有することで一連の建設生産システムの効率化・高度化を図るものです。

【工事概要】
■工事件名: 隅田川幹線その3工事
■発注者: 東京都下水道局
■工期: 2014 年 5 月 ~ 2019 年 3 月
■工事場所: 東京都墨田区墨田五丁目~足立区千住桜木一丁目
■施工者: 東急建設株式会社
■専門工事会社:株式会社精研
■工事内容: トンネル地中拡幅工、地盤凍結工、変状計測工 他

それでは、ご覧ください。
ドキュメンタリー動画「前人未到の凍結工法によるトンネル地中拡幅工事」です。


参考・関連情報・お問い合わせなど

東急建設株式会社 
経営戦略本部 経営企画部 コーポレート・コミュニケーショングループ 西田
TEL 03-5466-5008 FAX 03-5466-5069 E-mail: webmaster@tokyu-cnst.co.jp
リリースニュース:
https://www.tokyu-cnst.co.jp/topics/2256.html

「凍結工法」についての引用
□株式会社精研
https://seikenn.co.jp/index.html
https://seikenn.co.jp/business/freeze_ground/index.html

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