概要
鹿島建設株式会社(以下、鹿島建設)が、PC床版とCLTパネル(ひき板を繊維方向が直交するよう積層接着した木質系材料)を用いて新たなユニット化工法を開発した。
その工法は「フライングボックス工法」と呼び、PC床版にCLTパネルの壁と天井を組み立て、内装までを仕上げた上で揚重し所定位置に取り付けるという工法となっている。
地上で仕上げた1部屋をまるごと揚重・取付けて効率化
現場敷地内の屋内地上部で組み立てを行う、このフライングボックス工法は、在来の工法と比べて天候による影響を受けないために、計画的かつ安定した施工を可能にしている。
またそれに加え、仕上げ材などの揚重回数が大幅に減ることから生産性が向上。そしてその作業の多くは地上での作業となることから、安全性の向上にもつながるという。
施工手順
- 現場地組ヤードにPCに床版を設置。プレカットされたCLTパネル(壁4面+天井1面)を組み立て
- 建具や設備機器の設置などの内装まで仕上げ、タワークレーンで揚重し設置
- ユニット間のPC床版の目地にも無収縮モルタルを充填。強度発現を確認する
- PC鋼より線を通し、最大で10ピースのPC床版をPC圧着工法で緊張し構造的に一体化する
- PC床版と周辺躯体をコンクリート打設し一体化
この工法は、横浜市鶴見区にて建設中の鹿島建設のグループ研修施設(仮称)鶴見研修センター新築工事に適用され、すでに有効性は確認済みである。
近年、人手不足問題が課題となっており、建設就労者や熟練技術者の現象が進んでいる中、いかに現場の作業工数を減らし効率化できるか、作業内容を平準化できるかが問われている。
鹿島建設のアジア統括現地法人カジマ・オーバーシーズ・アジア社では、シンガポールにて施工中のウッドレイ複合施工建設工事で、建物をモジュール化し、躯体から仕上げまでの製造を行ったうえでタワークレーンで組み立てるというPPVC工法を、日本企業で初適用している。
PPVC工法は、まさに近年の建設業界の課題となっている「現場の作業工数減少」や「作業内容の平準化」を解決できる工法となっているが、日本国内で適用するには耐震性や運搬できる躯体サイズの制約があったりと課題があったという。そこでシンガポールでの知見を基に、今回のフライングボックス工法の開発に至っている。
鹿島建設では引き続き、建物のユニット化工法についてさらなる改善改良を行いながら、他の用途建物にも適用を拡大し、さらなる品質と生産性、安全性の向上を図っていくとしている。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□鹿島建設株式会社:https://www.kajima.co.jp/
リリース記事:https://www.kajima.co.jp/news/press/202205/31a1-j.htm