概要
日本電信電話株式会社(以下、NTT)が、社会インフラ設備を対象に、画像認識AIを用いた錆の検出に成功したと発表した。MMS(Mobile Mapping System)と呼ばれるレーザー計測器やGNSSなどの機材を搭載した車両システムで、走行しながらデータを取得しインフラ設備の錆を97.5%という高い精度で検出できることが確認されたという。
AIによる点検でバラツキのない点検品質の均一化へ
NTTの画像認識AIは、各種の計測器を搭載したデータ取得用の車両「MMS」で取得した複数のインフラ設備を一括で識別・点検できることから、インフラ管理者ごとに実施していた現地点検の集約により稼働削減が期待されている。
また、これまで点検員が点検を行っていたが、それによって発生していた品質のバラツキがなくなり、点検品質を均一化することが可能となる。
今回行われた検証では、MMSに搭載した横向きのデジタルカメラでは道路の附属物(ガードレール、標識、ミラー等)の画像、上向きのデジタルカメラでは柱上設備(金物、ケーブル等)の画像を取得。
道路付属物の画像1000枚の内、錆のある画像が587枚、柱上設備の画像1000枚の内、錆のある画像135枚に対し、画像認識AIを用いた設備認識と設備の錆検出を実施。その検証結果は以下の表となる。
これにより、現在インフラ管理者毎に実施されている現地点検を、一括で画像取得可能なMMSに集約することが可能となり、点検稼働の削減と、画像認識AIによる高精度な錆検出で、点検品質の均一化が期待されている。
近年、社会インフラの老朽化問題は深刻となっており、国交省の2018年~2033年における老朽化の推移予測では、道路橋は25%~63%、トンネルは20%~42%、河川管理施設は32%~62%と、今後20年間で建設後50年が経過する施設の割合が加速度的に高くなる見込みだ。これら老朽化進行の他に、点検コストの増加や人材不足などの問題も抱えている。
NTTでは、今後も画像認識AIによる錆検出の実用化を進めていくとともに、錆以外の変状検出や設備の経度緯度の高精度な位置推定に取り組み、デジタル情報による社会インフラ全体の効率的維持管理を目指していくとしている。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□NTTグループ:https://group.ntt/
参考記事:https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/05/16/220516a.html