概要
清水建設株式会社(以下、清水建設)が、株式会社積木製作(以下、積木製作)の協力のもと、BIMデータやAR技術、リアルタイム映像伝送技術を活用し、中間検査をリモート化するシステムを開発したと発表した。システムの有効性は日本建築センター(以下、BCJ)と検証している。
BIMデータを活用した建築確認申請業務の効率化
清水建設では、一昨年からBCJの協力でBIMデータを活用した建築確認申請業務の効率化に取り組んでおり、まずその第一ステップとなったのが、BIMデータをそのまま確認申請の事前審査に利用できる「BIMデータによる建築確認システム」の開発だ。システムは埼玉県三郷市の三愛総合病院の設計で有効性が検証されている。
そして今回の中間検査のリモート化システムは、その第二ステップとなるものだ。構築されたリモート中間検査システムは構造部材の検査が対象とされており、部材の形状、性能情報の整合確認、施工状況の確認、書類検査を支援する4つの機能が備わっているという。
タブレットを活用し、画面上に表示された検査に必要な各種の画像データや書類データを、検査員が目視で確認し検査できるとともに、タブレットの画面情報をリアルタイムに遠隔地と共有できるのが特徴となっている。
タブレットには、タブレットで捉えた現場のリアルタイムな映像や、建築確認で利用したBIMデータ、2次元写真群データからフォトグラメトリーで生成された3Dモデル、BIMパーツに紐づけた写真や帳票などの各種書類データが表示される。
検査員が目視で確認・検査するものとしては以下。
・性能情報の整合確認:AR画像の特定部材をタップし、部材の性能に関するBIM属性データと検査報告書データを表示。
・施工状況の確認:フォトグラメトリーにより生成された3Dモデルをリアルタイムに映像に重ねて表示。
・書類検査:検査対象の部材パーツに紐づけた写真や検査帳票などの書類データを表示。
このようにタブレットの画面上に中間検査に必要となるデータがすべて表示されるため、設計者の検査対応業務の効率化と検査員の検査の確実性が向上する他、遠隔地からタブレット画面を共有できることから、リモート検査も可能となるため、現場に出向く人員の人数削減が期待されている。
清水建設はBCJの協力を得、三愛総合病院にて従来の中間検査とシステムによる検査を実施。BCJでは検査のリモート化には法改正が必要だが、遠隔地からも現場にいる感覚で検査できると評価。
今後は第三ステップとして完了検査のリモート化に向けたシステム構築に取り組むとしている。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□清水建設株式会社:https://www.shimz.co.jp/
参考記事:https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2022/2022008.html
□株式会社積木製作:http://tsumikiseisaku.com/
□一般財団法人日本建築センター:https://www.bcj.or.jp/