概 要
株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と株式会社日立製作所(以下、日立)は、スタンドアロン方式の5G環境下にてARを活用した組み立て作業支援アプリケーション「AR組み立てナビ」の安定稼働を確認する実証実験を2022年3月29日(火)まで実施した。
結果、4G LTE通信では満たせなかった安定稼働の許容条件をクリアできたことが確認されたという。
AR組み立てナビの低遅延・安定稼働を確認
ドコモと日立は、製造業や社会インフラ分野のDXの推進に向けたユースケースを創出すべく、現在開発中のAR技術を活用した組み立て作業を支援するアプリケーション「AR組み立てナビ」の安定稼働を確認するための実証実験を、2022年3月1~29日の期間で行った。
なお実証実験の環境には、ドコモが2021年12月より法人向けに提供しているSA(スタンドアロン)方式の5Gサービス「5G SA」が利用されている。
AR組み立てナビは、作業現場の映像データをAIでリアルタイムに分析することで、作業者が行うべき行動が作業台にプロジェクションマッピングの形で表示される作業支援アプリとなっている。
また、現場で物理的な配線や設備等への考慮なく導入できる無線通信であること、かつ映像データをリアルタイムで分析・活用する必要があるため、大容量・低遅延な処理を行えるエッジコンピューティングの環境が求められる。
実証実験は、日立の研究開発の拠点である「協創の森」で行われた。ドコモの5Gサービスと「ドコモオープンイノベーションクラウド」を用いたエッジコンピューティングの実証環境を構築した実証の結果、AR組み立てナビの安定稼働のための許容条件のクリアが確認された。4G LTE環境では安定稼働条件は満たせていなかったという。
実証実験では、AR組み立てナビをドコモオープンイノベーションクラウド上で稼働させ、協創の森の実証環境とを5Gで接続。また信頼性・安全性の確保に、日立が開発の5Gハンドリングミドルウェアでパケットを複製し、メイン回線の5G SAとバックアップ回線のNSA方式(Non-Stand Alone)の5Gの双方で伝送し二重化している。
アプリケーションの実証では、前工程作業の完了を検知してから次工程の作業指示を投影するまでの応答時間を測定することで、アプリが実用に耐えられるかの検証が行われた。結果、応答時間の目標3秒以下に対し、目標値以下の1.5秒という結果となり実用に耐えられることが確認できたという。
ちなみに4G LTE通信の応答時間の4.2秒と比較すると2.7秒の応答時間の短縮となっており、複数の作業指示からなる工程全体では40%の生産性向上にあたるとのこと。また、5Gハンドリングミドルウェアを用いることで、SA方式の5G通信に遅延があった際でもNSA方式の5G通信からのデータが届くことで、通信が途切れることなく、AR組み立てナビの安定稼働ができることが確認されている。
日立とドコモは今後も連携し、今回の実証実験の成果を活用しながら様々なアプリケーションを活用した実証を積み重ね、高信頼で安定したパブリック5G環境とその環境を生かした効果的なユースケースの確立によって、製造業や社会インフラ分野のDX実現を支援していくとしている。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□株式会社NTTドコモ:https://www.docomo.ne.jp/
ニュースリリース資料:https://www.docomo.ne.jp/binary/pdf/info/news_release/topics_220330_02.pdf
□株式会社日立製作所:https://www.hitachi.co.jp/
ニュースリリース資料:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2022/03/0330.html