ここ数日、建築関係の国内での事故のニュースが続きました。注意喚起として少し話題にさせていただきます。
定期調査報告のおさらい
先日札幌市西区の築42年のマンションで、マンションのひさしにあたる部分が約30メートルにも渡り崩落したということです。怪我人はでなかったようなのでその点は不幸中の幸いでしょうか。
原因としては単純に老朽化。このマンションは1998年以降から約20年もの間「定期調査報告」がなされていなかったということで、さすがに何の調査もないまま20年間も放っておくと劣化が進むのは言うまでもありません。
定期調査報告とは?
このブログでも何度か取り上げてきた定期調査報告ですが、もう一度ここでご説明します。
定期報告制度とは、建築物やそれに備えられている昇降機などを定期的に調査・診断し、検査結果の報告を所有者・管理者に義務づけることで、建築物等の安全性を確保することが主な目的。
建築物が建てられ、それが使用され始めた後も、継続的に適法で安全な状態を維持していくことが重要である、という考えから定められています。
いわば車で言うところの車検、人で言うと健康診断のようなものです。
建築物を適切に維持管理するとともに、定期的な調査・検査結果を特定行政庁へ報告することは、建築物所有者・管理者に課された義務ということになります。
※定期報告をおこなわなかったり、虚偽の報告を行った場合は、罰則(百万円以下の罰金)の対象になります。
取り返しのつかない事になる前に…
車でも人でも20年間も放っておけばどこかしらに問題点が出てくる可能性は非常に高いです。それは建物にしても同じ。こうして事故が起こってからでは本当に取り返しのつかないことになってしまいます。
今回の事故を受けて管理会社は住民の避難を呼び掛けているということですが、事故が起こってから「危険が差し迫ってる。修繕するから避難を!」と急に言われても住民もたまったものではありません。
もしこれで人の身に何か起こっていたら社会的信用は地に落ちます。
2017年度は報告を義務付けられた住宅は2260件。その内約25パーセントは定期報告がないということです。これは札幌市に限らず、全国的に見ても多く存在していると思われます。
どういう理由があれ義務付けられている以上はきちんとした定期的な調査は必須。こういった事故のニュースを目にすることがなくなることを望むばかりです。