ピクトグラムって何?
皆様はピクトグラムをご存知でしょうか?
デザインなどをされている方は当たり前に知っていると思いますが、おそらく名前を聞いただけでは何なのか分からない方もいらっしゃると思います。
ピクトグラムとは言葉で説明をしなくても、一目見ただけで情報が伝わることを目的としたシンプルな視覚記号のことです。公共施設などでよく見かけますね。よくある非常口のマークなんかがそうです!あのような単純化されたマークのことをピクトグラムと言います。
このピクトグラムが日本で普及した要因としては、1964年に開催された東京オリンピック。当然、様々な国から人が来るので、公共の設備やオリンピックの種目もそうですが、その情報が言葉無しで伝わるように当時のデザイナーによって開発されたのが始まりのようです!
言葉の壁や老若男女を問わず、誰が見ても分かるマークで伝える。まさにユニバーサルデザインです。
アイコンと一緒じゃないの?何が違うの?
アイコンもその概念(対象)を視覚化するという所では似ていますが、ピクトグラムと違う点は単純化されていない所です。
アイコンはカラフルなものがあったり、ピクトグラムほどに単純化されていないものも多くありますね。そもそも作る目的が違うので全くの別物です。
トイレのピクトグラムを標準化?
先日のニュースで日本レストルーム工業会が、トイレの操作パネルに使うピクトグラムを標準化するということを発表されたようです。
現状は各社それぞれの製品によってピクトグラムが違います。それぞれの製品に使用されているピクトグラムは制作者の思いも込められているものなので、各社をまとめるのには苦労されたと思います。
これが標準化されるピクトグラム。※資料:日本レストルーム工業会
確かに一般家庭で使っているものや宿泊施設、公共機関で使われているものでピクトグラムが違っていると、人によっては分かりにくい場合もあるかもしれません。随分細かい所になりますが標準化するというのは素晴らしい事ですね。
工事現場のピクトグラム
建設現場や工事現場に関してもピクトグラムは存在しますが似たような形のものが多数で、当然理解できないというものはないとは思いますが標準化がなされていないのが現状です。
標識や工事用品を手掛けている大阪の「石井マーク」という企業があり、様々な標識をはじめ現場で働く人の注意喚起の為に自社でピクトグラムを製作されています。
これが石井マークのピクトグラム(株式会社石井マーク)
昨年はこのピクトグラムがちょっとした話題になり(悪い意味で)それについて公式のツイッターでこうつぶやかれました。
こうしたピクトグラムは、物笑いの対象として話題に挙がる例も多々見かける昨今、あえて申し上げますと私共は実際の死亡災害事例も含めて視覚的に再現するように努め、亡くなられた最期の姿をも、安全のために形にしております事をお含み置き下さい。 pic.twitter.com/rTV3YIs0Q7 — 株式会社石井マーク (@ishiimark_sign) 2016年8月11日
ネット上では、よく被苦人(ピクト)という名称を付けて、ピクトグラムを面白おかしく改変・創作してアップロードされていることがあります。リテラシーが低いのでここではあえて紹介しませんが…
やはり作業に従事している当事者や関係者がそんな扱いを見ると「笑いごとでは済みませんよ」となるのは当たり前です。自身の発信が与える影響というのをしっかりと想像できなければ、思わぬ誤解や軋轢を生みます。くれぐれも発信は自己満足や承認欲求を満たすためだけに使われることのないよう慎重に…
話が脱線気味になりましたが、全てをまとめるというのは中々大変なことだと思います。特に製造業や建設業の現場などは危険が本当に多い場所です。安全のために色々なピクトグラムをリリースしている石井マークさんの取り組みは素晴らしいと思います。
ちょっとした不注意や危険を予測、また意識できていないことで、それが死に直結してしまうこともあります。取り返しのつかない場合もあるからこそ、誰が見ても分かる標準化は必要ではないでしょうか。