構造物検査における新たな技術
先日、鋼構造物やコンクリートの劣化を超音波と光をもって、非破壊で検出・画像化する技術を開発したとのニュースがありました。開発したのは島津製作所様。これを用いることで老朽化した構造物を検査する際に、工程の効率化や省力化により貢献できる技術とのことです。
技術は開発済みのようですが、実用化にはまだ至っていないとのことで京都大学と共同研究をおこない、3年後の事業化を目指し実証研究を進めているようです。
出典:島津製作所
装置の構成としては超音波振動によって構造物に超音波を伝搬し、振動により構造物表面に発生する変位をレーザー照明とカメラで検知→可視化する。という仕組みのようです。(上図)
出典:島津製作所
上図は基礎実験の可視化例ということで、微小なひび割れの検知や塗膜下の亀裂や浮きなどの目視では確認できない部分も検知できるようで、これが実用化されることで検査前の塗膜除去が不要になるとのこと。
効率化と熟練度に依存しない現場作業の為に
この島津製作所様の技術ですが、開発の根本には構造物の検査において現場作業者の熟練度に依存しないという所があるようで、やはり現状の業界において、作業者の感覚に依存してしまっている部分が多いのは否めないといったところでしょうか。
目視や打診検査の打音など人の感覚に頼る部分には、多かれ少なかれ経験の違いによる見落としがあったり判定にバラつきがでたりします。
以前の記事で紹介したICT建設然り、こういった作業者の熟練度に関係なく素早く正確な作業をおこなえるというのは、業界にとっては作業の効率化以上に大きな変革になり得ます。
スギテックでも現場のアナログな部分を改善するという視点から作業報告書作成システムのSINQAを開発しましたが、それらが改善できることにより労働環境の改善にも繋がっています。
当たり前のようにおこなわれてきたアナログ部分の改善、熟練者以外でも判断・作業可能な環境を作り出しそこに最適なリソースを割り当てることで、マンパワー不足・リソース不足という問題改善にも繋がるのではないでしょうか。
現段階でも赤外線カメラをはじめ構造物の非破壊検査手法は色々とありますが、また新たな技術が業界に登場してきそうです。これは動きを追っていきたいですね。