FARO 3Dスキャナー(測定器)のセミナーへ
3Dスキャナーといえば、物体を3次元データとして取り込み、それを3Dの立体モデルデータにしたり、3Dプリンターの加工データにしたりできる測定器です。
色々な会社が出しておられますが、簡易的に人間をスキャンして立体化して遊べるような一般ユーザー向けの物から、シリコンバレーのスタートアップ企業で細胞を精密にスキャンし、医療分野に役立てているような高度なものなど様々です。
スキャナーにも何種類かあり、内部調査をおこなうもの、形状を計測するものと、形状の座標点までも計測するものがあります。
スキャンと言えば話題となったこれ
3か月程前に誰もが知っている、あのツタンカーメン王の墓の奥をスキャナーで調べた結果、隠された部屋が2つも存在しているという発表で話題になりました。
この時の調査に使われたスキャンはGPR(Ground Penetrating Radar)と呼ばれるレーダーを使用した内部調査をおこなう機材になります。
ちなみに実際にツタンカーメン王の墓調査に使われていた機材はこちら。
OYO SIR-4000
建物診断の業界でも鉄筋探査で使われている機材です。
本当に隠し部屋、あるんでしょうかね!?
中に何があるのか考えるとワクワクしてしまいます。ただ、実際にあるかどうか調べるためには、世界的な財産でもある壁画を壊さないといけないようなので、実質無理なようです残念!
今回のセミナーは座標点計測の3D測定器
今回3次元測定器やイメージング、およびソフトウェアの開発・販売を行う企業、FARO(本社米国フロリダ州レイクメリー)社の3次元測定器を体験してきました。
どういう測定器なのか、簡単に申し上げますと、
「建物や土木構造物などの立体座標データを自動で計測できる。」という代物です。
建物などを計測する際に人が動いて計測しなくても、測定器が瞬く間に建物・構造物など、全体の座標データを計測してしまいます。
建物のあの部屋の右隅までの距離は?と言われても座標データからすぐにそれが分かります。
空間の縦横高さ(XYZ)軸、すなわち3Dの計測データになるので、それが3Dの建物データとして使用できてしまいます。
今業界ではスタンダードになってきているBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)との親和性も高いようです。
BIMって何?
簡単には3Dの建築データですが、従来の3次元のCADとは違います。従来では2D(平面)で設計をおこない、それから3Dにするという利用が多かったのですが、BIMの場合最初から3Dで設計をおこない、従来では単なる3次元の形だけではなく、使われている建具や壁などの形状、その構造までの情報も入っています。
配管や空調、天井裏のような隠れたところまで再現しているのです。ですので設計が完了した時点で、仮想建物になります。
図面と違い既に完成した建物を見ているのと同じ感覚で見ることができます。また、部材と部材が干渉してしまうような事態を設計段階で防ぐことができます。 FAROの3D測定器のすごさ
機種にもよりますが、建物の座標ポイントを毎秒最大で976,000ポイントの速さで、最大330mの距離まで測定することができます。
大きめの建物や土木構造物でも問題ない測定範囲ですね。測定した座標群のデータは、寸法の測定やCAD,BIMデータ、確認用のパノラマビューとしてなど、使用範囲も広いです。
従来は人が計測していた物に関してもこの技術があることで、例えば熱源や大騒音のあるような人では長時間の作業が過酷な環境でも、機材任せで簡単に早く作業ができるのです。
まだまだ一般的にはアナログなイメージのある業界ですが、技術は素晴らしく進歩してきています。
デジタル、IT技術が間違いなく現場を変えます。勿論、そういった技術には真似のできない、人間にしかできない部分も多くありますが、その人間が最高のパフォーマンスを出せるように、うまく技術を取り入れていきたいと感じます。