こんにちは。本日は大林組がソウル大学とともに、山岳トンネル工事の生産性向上に、画像情報をコンピュータに取り入れて処理することで必要な画像情報を取り出すコンピュータビジョンと音声を活用し、堀削の作業状況を自動的に把握するというAIアプリケーションの「名称：CyclEye™（サイクライ）」を開発したという話題。
トンネル工事の生産性向上のためには、一連の作業にかかる時間である「サイクルタイム」を計測して、その時間を常に短縮していくことが求められます。
そんな中で機械が故障したり、ミキサー車の到着が遅れたりなどの資機材の段取り不足やトラブルによって生じる「ダウンタイム」は生産性を低下させる要因になります。生産性向上には、このサイクルタイムとダウンタイムを最小化にする現場マネジメントが必要です。
コンピュータビジョンと音声を活用したAIアプリケーション
従来のサイクルタイムは、現場管理者が切羽作業付近でストップウォッチやノートで計測を行っていたそうで、その場合、全てのサイクルを継続的に計測することは不可能で、そのために生産性の向上を検討するのに必要なデータが不足していたそうです。また、機械が故障した際は復旧が最優先になるため、作業の停止時間を計測して統計を取るということができなかったとのこと。
資料：大林組
今回開発されたAIアプリケーションは、掘削時の映像データを画像認識AIと音声認識AIで分析するマルチモーダルAIによって、建設機械の配置状況や、各作業に要した時間を自動的に把握する技術となっています。
このAIアプリケーションで、サイクルタイムとダウンタイムの情報を24時間365日自動収集でき、生産性向上に必要なデータの分析や現場マネジメントの手法を検討することを可能としています。
アプリケーションの特長は以下
マルチモーダルAIによる精度向上
掘削時の映像データを物体検知・物体追跡で分析することで、各建設機械の動きを把握することが可能。同じ建設機械を使用する削孔と装薬、ロックボルト打設作業では、「本体」「腕のような役割をするブーム」「高所作業を行う作業員を搭載するマンケージ」の位置関係を分析する姿勢推定技術を用いて各作業を識別します。
また、物体同士が重なってしまうとAIが物体を認識できなくなるので、作業時に発生する特徴音や機械のエンジン音など建設現場で発生する音をスペクトログラムで見える化。そして、音響シーン分類や音響イベント検出システムなど、音声認識技術で補完することで、作業内容を推定する精度を向上しているとのこと。
資料：大林組
サイクルタイム、ダウンタイムの見える化
各サイクルタイムを自動計測し、図表の形で見える化。コンクリート吹き付け作業時間の時系列データの表示や、選定した作業日のサイクルタイムをグループごとの円グラフなどで比較することが可能に。サイクルタイムや作業員の累積経験数と達成度を学習曲線で見える化し、作業員のモチベーションを向上させることにより、生産性向上を実現。
資料：大林組
サイクルタイム以外の施工情報を取得
重機の稼働時間を継続的に計測することで、トンネル掘削作業時のCO2排出量を推定します。また、協力会社が不在で、ずり仮置き場の土量を把握することができない夜間作業では、ダンプトラックの搬出入回数の記録からずり出し量を推定できるので、取得した情報が翌日のずり場外搬出作業計画の迅速な立案に役立ちます。加えて、各作業時の建設機械の位置関係のデータも取得できるため、トンネル建設機械の自律化の基礎データとして活用することが期待できます。
資料：大林組
低コストでの導入が可能
市販のクラウドカメラを利用した坑内カメラとマルチモーダルAIで構成されているため、低コストで現場に導入可能。
大林組ではこのシステムをトンネル工事に積極展開し、工事関係者間で作業状況の情報共有や施工管理に活用していくとのこと。またAIを活用した情報分析によって高度な現場マネジメント手法を顧客に提案していくそうです。
□株式会社大林組
山岳トンネル掘削の作業状況を自動的に把握する「CyclEye（サイクライ）」を開発
リリース記事：https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20220221_1.html
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