こんにちは。土木建設現場でいまだ跡を絶たない重機による災害ですが、昨今ではICタグや無線センサーを活用した人の検知方法が開発され使用されていますが、完璧ではないという状況です。
そんな中、大成建設株式会社(以下、大成建設)が、確実な人体検知のできるAIシステム「T-iFinder」を開発したとのことで、そちらの話題をご紹介。
検知精度高度化により様々な施工環境での安全性を向上
大成建設は建設機械に搭載できる形のAIを使い、人を高精度に検知するシステム「T-iFinder」を開発。実際にシステムを導入した建設機械を様々な施工環境にて実証実験を行ったとのこと。時間にして延べ3,000時間をかけており、確実な人体検知と、建設機械の緊急停止、警報機能の自動作動状況からその安全性が確認されたとしています。
従来の人体の検知方法として、ICタグや無線センサー等による方法が用いられていますが、この場合、そもそも本人がICタグを所持していなければ検知することが出来ません。また、無線センサーについても設置条件により、逆に人や物に対して過敏な反応をしてしまうことがあったそうです。
また、これまでに大成建設では既に自動車などで実用化されているAIを活用した画像処理技術を用いて、人体検知するシステムの開発にも取り組んできたそうですが、AIが人体と誤検知しやすい資機材や塵埃が舞うような視界が悪い状況下での作業環境では人体検知が困難な場合があり、検知精度が低下するという課題があったとのことです。
そんな中、大成建設ではトンネル・地下工事、建築工事などから取得した作業員の映像データを基にデータベースを構築し、施工環境に合わせて機能する複数の種類の建設機械搭載型AIを用いた高精度な人体検知システム「T-iFinder」の開発に至っています。
システムの特長は以下
建設機械搭載型AIを用い、カメラとの連動による人体検知と同時に建機動作を制御
AIは使いやすさと多様な機種への対応を可能とするため、小型ケースに格納しコンパクトにされており、最大で3台のカメラと同時接続して画像データの処理が行えます。
システムは施工環境で収集・蓄積されたデータベースを個別に保有しており、クラウドを介さずにその場で処理することが可能とのこと。瞬時の映像を基に人体を検知し、接触の危険性を判断すると建設機械の自動減速・停止や警報発出等の制御を同時に行うことができます。
また、現場固定カメラを活用し、立入禁止区域の監視や建設機械の運転席から視認しにくいエリアの確認、ドライブレコーダーなどにも適用することが可能とのこと。
資料:大成建設
施工環境に応じて深層学習を重ねたAIにより、最適な人体検知システムを構築
施工環境に応じて、AIを用いて検知すべき人体と誤検知しやすい資機材等の画像を収集してデータベース化を図り、このデータベースを基に施工環境に合わせて人体検知を実施するシステムを構築することが可能です。そのため、新規導入する現場でも最適な人体検知システムを提供することができます。
資料:大成建設
大成建設では、今後も現場でシステムの検証を継続し、多様な無人化・自動化建設機械に適したAIや遠隔サポートなどの検知精度高度化に関する技術開発を進めていき、また高精度な人体検知技術の確立の早期実現と、建設現場の更なる安全性向上に努めていくとしています。
□大成建設株式会社
建設機械搭載型AIを用いた人体検知システム「T-iFinder」を開発
リリース記事:https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2022/220216_8680.html