こんにちは。様々な活用方法のあるAIシステムですが、株式会社熊谷組(以下、熊谷組)が画像認識を活用したAI検知で、建設現場内の車両走路に侵入してきた人などをリアルタイムで検知できるというAIシステムを開発したと発表しました。
現場内のカメラの映像から、車両の走路への侵入をAIが正確に検知。検知されると警報装置が動作するという仕組みとなります。検知後に車両の運転手に侵入を瞬時に知らせることで、接触による災害を防ぐヒューマンエラー防止の安全システムとなっています。
また、車道の監視員がいなくても接触事故を未然に防ぐことが可能になることから、生産性の向上の面にも期待できるとのこと。
AIによる車両走路侵入者検知システム
建設現場では、本来は車両の走行路と安全通路を分けることがベストですが、作業環境によってはそれができない場合があります。その場合に車両が一般道から現場内に入場する際に、走路の幅員変化等、周辺環境の変化で見落としや接近・接触などのヒューマンエラーが発生する可能性が高くなっています。
そこで車両の走行路内に人が侵入している場合、運転手に侵入者がいるということを知らせることによる危険予知のシステムが必要だという所から開発に至ったとのこと。
システムの概要は以下のようになっています
資料:熊谷組
この場合、一般道から現場に入った車両は、現場内を反時計回りに走行しバックホウで土砂を積載後、一般道へと退場。図ではAIの検知エリアをAREA01~04と設定されています。
安全通路が設置困難であるAREA01~04ごとに、ネットワークカメラと回転灯を設け、車両走路内の侵入者がAIで検知された場合、回転灯が動作し、運転手に知らせるという流れです。車道の監視員がいなくても車両走路上の侵入者との接触事故を未然に防ぐことが可能となることで、生産性の向上も期待されているとのこと。
構成は以下
資料:熊谷組
ネットワークカメラの映像をAI搭載の推論マシンに送信。AIが映像から危険判定を行います。判定結果はシグナルとして電源制御装置へと送信され、警報装置の動作を制御するという仕組み。
AIの人物検知アルゴリズム
AIは事前に収集されている現場内の映像から、独自の教師データで検知エリアに関わらず映像中の建設現場作業員の姿勢・服装の変化や現場環境の変化にも柔軟に対応し、正確かつリアルタイムに人物を検知し、短形で囲うことが可能で、その人物の特徴から個人を特定して追跡することも可能とのこと。
資料:熊谷組
車両走路への侵入者検知のアルゴリズム
侵入者の検知はAIの人物検知アルゴリズムで、人物に囲った矩形と人物検知エリアとの重なり度合いで判定。その際には、矩形の足元に対して判定の重きを置くことで、人物検知エリアの境界線付近における侵入者の検知漏れを防ぎます。
映像のコマ落ちが起きた場合に対しては、時系列的に人物を追従することで検知漏れを防ぐことができるようになっています。人物検知エリアは容易に設定することができるとのことで、様々なシーンへ対応することが可能なものとなっています。
資料:熊谷組
このAIシステムは、実際に熊谷組の現場にて、ダンプトラック走路での土砂運搬の実施工で実証され、その効果が確認されたとのこと。
今熊谷組では、今後、検知エリア侵入の人物検知と個人情報をリンクさせた画像監視や、安全通路での歩行状況、出面管理、場内機械等の稼働状況監視によるCO2削減システムなど、このシステムを応用しさらなる進化をさせるべく開発を行っていくとしています。
□株式会社熊谷組
AIによる車両走路侵入者検知システムの開発
リリース記事:https://www.kumagaigumi.co.jp/news/2022/pr_20220204_1.html
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