記事のポイント
・前田建設工業株式会社(以下、前田建設工業)は、株式会社レグラス(以下、レグラス)が開発した半天球全方位AIカメラの「OmniEye(オムニアイ)」を業界初で試行導入した。
・このオムニアイのシステムは、魚眼レンズを使用した半天球カメラとなっており、単眼測距技術(特許6940907)を用いることで、周囲360°、半径5m範囲の人物をAI画像認識する。
重機に接近した作業員を検知。周辺の安全対策を実現
建設現場での事故発生件数は減少傾向にあるが、重機事故に関しては横ばいの状況が続いている。その中でもバックホウ等と作業員の接触事故は重機事故の半数を占めているため、重点的に対策を行うべき部分となっている。原因として重機作業では、その死角の多さからオペレーターが全周を確認しづらいことや、視覚範囲内であっても合図や確認の不徹底、誤操作等があげられるという。
そのような現状から、前田建設工業ではレグラス社の開発した「OmniEye(オムニアイ)」を試行導入した。オムニアイは魚眼レンズの半天球カメラで、単眼測距技術(特許6940907)を用い、周囲360°、半径5m範囲の人物を画像認識で検知する。
出典:前田建設工業
カメラは重機に接近した作業員を検知し、光や音で発報。重機を自動停止させることで死角に対し、周辺安全対策を実現し、事故を未然に防止できるという。
このような重機の接触防止技術には、赤外線や磁界を活用したものなど、様々な検知方法があるが、これらは作業員が人を検知するためのICタグを持つ必要があるために、ICタグを持ち忘れた場合は検知できないという問題がある。
オムニアイシステムであれば、重機に半天球カメラを設置・電源供給するだけで検知ができる他、これまで培われたカメラ制御技術の搭載により、夜間や霧、雨、逆光などの環境においても使用可能となっている。
今回試行された現場では、バックホウの後方に半天球カメラを設置し画像認識精度の確認や死角の確認が実施された。実際に作業員の体の一部が見えない状態やしゃがんでいる状態でも、人として認識され、その精度の高さが確認されたという。
しかし後方1台だけでは前方に対しては検知しないため、今後は前方後方の2台設置で死角をなくした周辺安全対策を実施し、安全性の向上を図っていくという。
前田建設工業では、今期中に立杭堀削現場で5台以上のバックホウが輻輳し、中間杭等の支障物の多い立杭堀削作業に、重機接触防止の切り札として本格導入を予定している。
□前田建設工業株式会社
業界初、半天球カメラ画像をAI認識する重機接触防止システムの導入
リリース記事:http://www.maeda.co.jp/news/2021/11/25/5193.html