記事のポイント
・清水建設株式会社(以下、清水建設)が、新大阪駅前にて施工中の「新大阪第5ドイビル建設工事」において、自社開発である多腕多機能ロボットの「Robo-Buddy」が、職人とのコラボによる施工を進めている。
・ロボットは、始動早々から施工の精度・効率ともに職人の技の域に達しているという。大手建設各社ではロボット開発に注力しているが、OAフロア施工ロボットの開発は今回が初めてであるとのことだ。
双腕ロボットが±1mmという高精度で床パネルと支持脚を施工
清水建設が、新大阪駅前で施工中の新大阪第5ドイビル建設工事において、自社開発の双腕多機能ロボット「Robo-Buddy」が始動し、職人とのコラボによりOAフロア(2重床)の施工を進めているそうだ。始動早々から施工精度・効率とも職人の技の域に達しているという。大手建設各社はロボット開発に注力しているが、OAフロア施工ロボットの開発は今回が初めてとなる。
建設業では職人、いわゆる技能工の高齢化が進んでおり、深刻な人手不足時代の到来が懸念されている。そのため、大手建設会社では協力会社を支援し新規入職者の確保に努めるとともに、生産性向上に向けロボットやICT技術の開発に注力している。清水建設での開発の方針は「ロボットと職人のコラボ」となっている、ロボットが苦渋作業を繰り返し作業を代替し、職人はロボットの対応できない部分を補う形で仕事を行うという考えだ。
「Robo-Buddy」は、4輪駆動の作業台車と台車から伸び出た2本のロボットアームから構成される双腕多機能ロボットとなっている。OAフロアの施工では、片方のアームがOAフロアの床パネルを支える支持脚の据え付け、もう一方が床パネルの敷設を担い、材料供給ロボットとセットで稼働し自律的に作業と移動を繰り返す。
職人の手作業によるOAフロアの施工は、中腰で行う必要のある繰り返し作業となっており、1枚10数kgのパネル敷設は苦渋を伴う作業であることから、Robo-Buddyの新たな機能としてOAフロアの施工機能を開発している。尚、これに併せ建材メーカーのニチアス(株)と共同で、施工法を簡素化したOAフロアを開発し、今後広く建築工事に適用していく考えだという。
出典:清水建設
Robo-Buddyの適用に必要な準備は、支持脚の高さ調整に必要なレーザ発振器のセット、コンクリート床上の支持脚の位置を示す墨出し(マーキング)、ロボットへの作動指示となる。作動指示は、タブレットからクラウドを介してBIM(設計)データの床平面図を参照し、施工するエリアを選択してスタートボタンを押すだけとなっている。
2台のロボットはクラウドを介して作動指示を受信すると、SLAM(自己位置推定技術)により施工場所へ自動的に移動。支持脚据え付けアーム先端のカメラで支持脚の位置を示す墨を認識すると、アームが材料供給ロボットから支持脚を取り出し、接着剤を付けてコンクリート床上に据え付けてはレーザのレベルに合わせて高さを調整する。床パネル敷設アームは同様にカメラで敷設位置を認識し、材料供給ロボットから床パネルを受け取り、支持脚上に敷設していく。
新大阪第5ドイビルでは、約700m2の基準階のOAフロアについて、Robo-Buddyが中央部350m2、職人が手間のかかる外周部350m2をそれぞれ施工し、効率よくコラボを展開しているという。なお、後工程の関係でRobo-Buddyの稼働は9月単月、2フロアの施工に限定されるそうだが、職人と同程度の施工スピードと床パネルのレベル差±1mmという高い施工精度を確保し、省人化率は約70%に達する見込みだ。なお、省人化率は床面積に比例して高くなる。
出典:清水建設
清水建設では引き続き、建築工事のデジタル化コンセプト「Shimz Smart Site」に基づいたロボット施工を推進し、ロボットと職人がコラボできる工種を増やすことで生産性の向上に努めていく考えだ。
□清水建設株式会社
OAフロア施工もロボットで~双腕ロボットが±1㎜の高精度で床パネルと支持脚を施工~
リリース記事:https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2021/2021040.html